学校の課題(宿題)への支援について
宿題の時間になると、空気がピリつく──
そんな家庭、けっこう多いんです。
今回は、主に学齢期のお子さんに向けた支援についてお話しします。
私の相談室では、初回相談の対象年齢を「3歳未満」としており、小学校入学を前に終了する場合もあります。一方、小学校に入学した後も支援を継続するケースもあります。2〜3か月に1回や半年に1回といった頻度で、成長に応じた教育相談を続けていくことがあります。
そうした中で、少なからず直面するのが「学習面での壁」です。
特に多いのが、小学校の課題──とくに「漢字練習」や「音読」に関するご相談です。
たとえば音読。
スムーズに読めないお子さんに対して、「繰り返し読めばうまくなるのでは」と考えて、何度も音読させる保護者の方がいます。でも、残念ながらそう単純な話ではありません。
漢字練習も同じです。
ありがちなパターンとして、同じ文字や熟語を延々と書かせる。これも子どもにとっては、ただの苦行になってしまいます。
また、音読にしても漢字練習にしても、内容そのものが面白くないということも多々あります。初めて読んだときは面白かったものの、学校の授業や宿題で何度も読んでいれば、さすがに飽きてしまいます。漢字ドリルも、正直なところ、例文が“ちょっとお堅い内容”のものが多いですよね。
つまらないものや飽きてしまったものを反復して繰り返していれば、学習が「嫌なもの」になってしまいます。
それだけでなく、親子関係もギクシャクしてしまいます。
子どもですから、読み方がたどたどしかったり、読み飛ばしたりもするでしょう。書き順や送り仮名を間違えてしまうことだってあります。
それを指摘すると「チッ」と舌打ちが返ってくる。これでは、親子にとって苦しい時間になってしまいます。
“やらせる”から“やりたくなる”への一歩
こういうとき本当は、その子の興味・関心に合ったちょっとした工夫や、本人が楽しく取り組めるような教材があればベストです。
ですが、なかなかそのような教材は市販されていません。
では保護者の方が作るかといえば、それも骨の折れる作業になってしまいます。
そこで、最近とても役立っているのが──生成AIの活用です。
たとえば今回ご紹介するのは、あの有名なChatGPT(チャットジーピーティー)。
聞いたことはあるけど、使ったことがない方もいるかもしれませんね。これはLINEのような感覚で、AIとチャットしながらやり取りできるツールです。
使い方はとってもシンプル。
「こんな教材を作ってほしいです」と入力すれば、「では、こんなのはいかがでしょうか?」と提案してくれるんです。
しかも、数秒で。
次のセクションでは、実際のやり取りの画面をお見せしながら、どんな教材が作れるのかをご紹介していきます。
子どもの興味・関心を活かして、オリジナル漢字ドリルを作ってみよう
たとえば、ある小学2年生の男の子。
今日の宿題は「教科書に出てきた漢字をノートに書く」という課題だったのですが、どうにも気が乗らない様子です。
そんなとき、ちょっと生成AIの力を借りてみましょう。

まずはこんな感じでお願いしてみました。

返ってきたのは──ちょっと生意気な口調?
実はChatGPTにも「性格設定」みたいなものがあります。事務仕事が得意、ユーモアのセンスがあるなど、作業によって使い分けたりしますが、その説明は今回は割愛。
今回は、本家ChatGPTではなく、ツッコミが鋭くて謎にプライドが高い、でも仕事は完璧な「Monday」くんにお願いしてみました。

「えっ、こんなの一瞬で!?」と思った方──はい、私も同じでした(笑)
あっという間に、即席ポケモン漢字ドリルが爆誕です。
この後、子どもの学年、ドリルにしたい漢字、好きなアニメなどを相手から聞いてきてくれるので、
チャットで答えていけば、さらに質の高いドリルが完成します。
音読が苦手なお子さん向けに、オリジナル教材を作ってみよう
さて、もうちょっとチャレンジングなお願いをしてみましょう。
**「音読が苦手なお子さん」**向けに、オリジナルの音読教材をAIに作ってもらいます。

次は音読の文章を作ってください。条件は次の通りです。
・登場する漢字は、「魚」、「広」、「前」、「元」。
・1年生までに習った漢字も使ってよい。
・ポケモン、ドラえもん、ちびまる子ちゃんのキャラクターが登場。
……結構、無茶ぶりしたと思っています(笑)
でも、ところがどっこい。出てきた文章がこちら。
のびたと まる子と ピカチュウの ひみつの おでかけ
のびたは いけのある こうえん に きました。
広い ばしょ に すわって マンガ を よんでいます。
そこに まる子が やってきました。
「こんにちは、まるちゃん。」
「おや、のびたくん。」
そこに ピカチュウも 元気にとびだして きました。
「ピカ ピカー!」
三人は いっしょに 魚を つりに いくことに しました。
魚が とれる ばしょは こうえんの 前にある 大きな いけです。
「ここは 広いから つりが できるよ!」
と まる子 が いいました。
「前にも ここ で つった こと が ある!」
と のびた が いいました。
ピカチュウ は つりざお の かわり に しっぽ を つかいました。
魚 は 一ぴき も つれません でした。
でも 三人 は たのしい じかん を すごしました。
「えさの 元を とれなくて くやしいねえ。 だけど、いい 一日 だったよ!」
と まる子 が わらいました。
笑っちゃいました。これはすごい。
ストーリーの破壊力もさることながら、ちゃんと指定した漢字も自然に組み込まれています。
オリジナル漢字ドリルも、音読教材も、
ほんの数秒でこのレベルの教材が出てくるなんて……ちょっと驚きです。
学びのいちばん大切なエネルギー、それは「楽しい」
これは本当に、一番大切なこと。
……なのに、なぜか真っ先に忘れられることでもあります。
「もっと読んでみたい」
「これも書いてみたい!」
──そんな気持ちを引き出せたとき、学習効果は何倍にも膨らんでいくのです。
そのためには、子どもの興味・関心に添った教材が必要になります。
でも実際、そんな教材は市販ではなかなか見つかりません。作るにしても大変です。
今までは、保護者の方と支援者が一緒に頭をひねって、少しずつ形にしていくしかありませんでした。
でも、今は違います。
「ちょっとの遊び心」で、学習はもっと促進される
たとえば——
- 漢字ドリルや音読教材の他、算数の文章題も作ることができる
- マンガ、アニメ、芸能人、ゲーム、ペット、お菓子、なんでもコラボできる
- チャットで指示を出せば、たった数秒で出力してくれる
こんな便利な道具が登場したのですから、使わない手はありません。
しかも、大人が使っていても楽しいです。むしろ、子どもより楽しんでいるかもしれません。
ここでのポイントは、「学習させる」ことだけが目的ではないということ。
むしろ、教材を作るという体験そのものが、親子での学びの時間になるのです。
「この子、この言い回し好きだよね〜」
「え、それ入れたら笑うと思う!」
そんなやりとりを通して、親子のコミュニケーションも自然に深まっていきます。
学校の先生に一声許可をいただいて、教室で友達とワイワイできたら、なお最高ですね。
教育相談にも“遊び心”を
「教材を作る」ことがゴールではありません。
それを一緒に笑いながら楽しむ時間こそが、支援の種なのです。
私は、こうした視点をもって教育相談に取り組んでいます。
**「どうやって教えるか」と同時に、「どうやったら笑って取り組めるか」**を大事にしています。
学ぶって、本当は面白いものなんですよ。
……ってことを、大人も子どもも一緒に思い出せたら、
それが一番の支援かもしれません。
今回の他にも、教育相談ではこんなユニークな支援もあります。


この相談室は、どんなことを相談できるのかな——
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