2歳児がママにべったりで離れないときに。「親から離れる練習」のはじめ方

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「2歳の子がママにべったりで離れない…」
そんな悩みから、相談の問い合わせが届くことがあります。

トイレに行こうとするだけで泣く。姿が見えないとパニック。
「かわいいはずなのに、しんどい」──そんな毎日が続いていませんか?

この記事では、「ママ、ママ…」と離れられない2歳児の行動と、
そこから少しずつ抜け出すヒントをお伝えします。

目次

「2歳児がママにべったり」──離れられないのはなぜ?

2歳半の子が、四六時中ママにべったりなんです
トイレにもついてきて、ドアの前で泣き叫ぶんです…

こんな相談、本当に増えています。
かわいいはずの我が子なのに、“離れてくれない”日常に、もうへとへと…。
そんなことはありませんか?

たとえば、赤ちゃんの頃なら、泣いたらすぐ抱っこしてあやすのは当たり前。
でも、2歳も過ぎてくると──

「これって大丈夫なのかな?」
「来年は幼稚園なのに、どうするの…?」

そんな不安がじわじわと広がってきます。

そしていざ誰かに相談しても、返ってくるのはこんな言葉かもしれません:

「ママが大好きな証拠よ」
「甘えられるのも今だけ」
「いっぱい受け止めてあげて」

それで納得できるなら、私の相談など不要なのですが、
それだけでは済まないケースも確かにあるのです。

こんなとき、私はこう尋ねます。

離れられないだけで済んでいませんよね?思い通りにならないと叩いたり、物を投げたりしませんか?

実際、こんなお話が返ってきます:

そうなんです…離れられないだけじゃなくて、最近は思い通りにならないとびっくりするくらい怒るんです。

さらにしつこくしがみついてきたり、叩いたりすることもある。
「イヤイヤ期だよね」と思いつつ、どこまでが“普通”なのか、わからなくなってくる…。

この段階まできて、「子どものすることはすべて受け止めましょう」と言う“専門家”もいますが、
もちろん、私はそうは考えていません


「子ども最優先」という思い込みが“しんどさ”を生む

トイレにゆっくり行きたい。
10分だけでいいから、誰にも呼ばれずにお茶を飲みたい。
夕飯の支度中くらい、少し離れて1人で遊んでいてほしい。

──これ、決してわがままではありません。
むしろ、そう願うのが自然です。

でも、子どもが泣いて訴えてくると、ついこう思ってしまいませんか?

「私が甘えさせてあげないといけないのでは…」
「今は“べったり”してくれる大事な時期だし…」

そんなふうに自分の気持ちに葛藤している親御さんは、本当に多いです。
でも、2歳半にもなれば、「いつでも子ども最優先」は、もう限界があります。

トイレに行くことも、ひと息つくことも、親としての当然の「権利」です。
夕方に食事を作る時間は、子どもと遊ぶことよりも“料理する自分”を優先していい時間です。

それでも、「子どもの気持ちをないがしろにしてるのでは…」と悩んでしまうのは、
きっとどこかで、「親はいつも子どもを最優先すべき」と思い込まされてきたからかもしれません。

だからこそ、こういうときこそ専門家のサポートが必要になるのです。
2歳の時期の発達に合わせた子育てをお伝えするためです。


2歳からは「子ども最優先」の思い込みを手放していきましょう

今回のようなお悩みに向き合ううえで、いちばん大切なのは、
子育ての前提を見直すことです。

「子どもが泣くなら応じてあげなきゃ」
「全部受け止めてあげるのが、いい親」

そんなふうに、“いつでも子ども最優先”という思い込みが、
知らないうちに根づいてしまっていることがあります。

でも実際には、
「子どもを優先できない場面もある」ことを、まず自覚することが大切です。

さらに、年齢が上がるにつれて、
子どもの要求に“ノー”と伝える練習も必要になってきます。

もちろんそれは、子どもを無視したり、感情的に否定したりすることではありません。

きっと、こんなシーンに心当たりがあるはずです。

寝る前、歯磨きが終わったあと。
2歳の子が突然、こう言ってきます:

アイスが食べたい!

さてこんなとき──どう対応するかの前に、どう考えますか?

  • 「いやいや、無理でしょ(笑)」
  • 「でも気持ちを受け止めないと…」

本心としては、どちらが良いですか?

正直なところ──前者のほうが、圧倒的にラクになります。

というのも、
後者のように「子どもの気持ちを全部くみ取らなきゃ」と思い込んでいると、
毎日の関わりの中でどんどんしんどさが積み重なっていきます。

どう伝えたらいいんだろう…
これは正しい対応なのかな…
でも子どもも納得してないし…

そんな迷いのループにはまっていくんです。

ある日、意を決して「ダメ!」とノーを伝えても、子どもは大泣き&大暴れ。
その結果、親はまた自己嫌悪…という、つらい繰り返しになりがちです。

前提が変わらないままだと、泣きながらすがってくるわが子に、いつまでも振り回され続けることになります。


で、実際の練習はどうするの?

「前提を変えましょう!」だけでは、ただの教育評論家で終わってしまいます。
でも私は、現場第一の支援者。だからこそ、もっとイメージが湧くような「練習」の話をします。

心構えがわかったら、早速練習のスタート。
実際の出張カウンセリングでは、こんなふうに進めていきます。

おやつのとき、お気に入りのスプーンでないとしつこく怒り続ける?

そうなんです。アナと雪の女王の…

それ、朝、お父さんのお弁当箱に入れましょう

えっ!?(本気?)

はい、本気です。
つまり、あえて子どもがちょっと不満に感じる場面を作り出すんです。

もちろん、私がご家庭に出張したときにおやつタイムを設けるので、お母さん1人ではありません。
お子さんの荒れ方、パターン、動き、強さなど、見通しをあらかじめ親御さんにも伝えます。

そして実際にこうなります

先生が言った通りになってる…
怒ってたくせに、プリンは普通に食べてる!

そうなんです。そして子どもにとっても――

プリンおいしかった♪(スプーンはいつもと違ったけど?)

という体験になります。

こういう関わりこそ、「いつも子ども最優先」の前提を家族みんなで崩していく丁寧な練習です。まるでドラマの脚本・演出のようですね。

こんな経験を積み重ねると、ママにべったりのご家庭では、お母さんのティータイムやマンガタイムを「演出」することも可能になります。

正しい練習があれば、どんなご家庭でも実現することができます。


さらに、もう一歩踏み込んだ練習

出張カウンセリングでは、こんな練習も行います。

  • お父さん、お母さんが支援者とお話しているとき、子どもは割り込まないで1人遊んで過ごす

これを、例外なくすべてのご家庭で取り組みます。

実はこれ、「子どもが親から離れる」練習であると同時に、「親も子どもを最優先にしない」練習となります

出張カウンセリングでは、親御さんが子育てを学ぶための貴重な時間です。
その時間に、子どもが割り込んできても微動だにせず、毅然とふるまえるようになってもらいたいわけです。

つまり、相談の時間それ自体が「ママにべったり」を改善する練習となります。

これは、専門家指導のもとで練習しない限り、まず習得できません。

もちろん、子どもにとっても、ずっと放っておかれるわけではありません。
遊んでいれば、ちゃんとどこかで声をかけてもらえる。何も怖いことなんて起こりません。

安心して、「親から離れる経験」ができるのです。

これまで「子どもの気持ちを優先しなきゃ」って思ってばかりで、自分のことは後回しにしてきた気がします。

それに気づけたこと自体が、もう立派な一歩です。
けれど、頭でわかっても、本当にできるかどうか不安ですよね。


練習すれば、必ず上手になります

大丈夫。これはテニスや水泳と同じです。
正しいやり方で練習すれば、誰でも上達できます。

最初は、ラケットの握り方すら分からなかった。
でも、繰り返していくうちに、自然と体が動くようになる。

子育ても、まったく同じです。

分からないことがあっても、不安なことがあっても、
そばに“コーチ”がいれば大丈夫。

迷ったらまた聞けばいい。
悩んだら、一緒に考えればいいんです。

何事も、できるようになってくると、不思議と自信がついてきます。
教育相談も、それとまったく同じですよ。

子育てには、練習が必要です。
迷いのループにいる方も、「まだ練習してないだけかも」と思ってみてください。

そして、この記事のほかにも、
これからの子育てのヒントになる記事をたくさん書いています。

困ったときには、いつでも読み返してみてくださいね。

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