名前を呼んでも振り向かない子ども──その行動には理由があります
2歳の子どもなんですけど、名前を呼んでも振り向かないんです。
テレビやおやつには反応するのに、親の声はスルーされてしまいます。
そんなご相談をいただくことがあります。
「名前を呼んでも振り向かない」という悩みは、親御さんからよく届きます。
何か発達の問題があるのでしょうか──?
今回のテーマは、「呼んでも反応しない」という子どもの行動についてです。
まずお伝えしたいことは、この「呼んだら振り向く」は、
練習で必ず上手になる
ということです。
無発語のお子さんであっても、自閉スペクトラムの特性が強い場合でも、親が声をかけたら、即座にパッと振り向いて反応できるようになります。
呼びかけに反応することは、人とのやりとりの基本となる行動です。そのため、私の出張療育でも、初期の頃から重点的に取り組みます。
ところが、この“最初にやるべきこと”が、支援の現場で軽視されてしまうことがあります。
一体なぜでしょうか?次のパートで掘り下げていきます。
「個性」や「性格」ではありません──呼ばれたら振り向くのは「スキル」です
2歳・3歳で名前を呼んでも振り向かない。
そんな子どもの様子を前に──
「個性ですよ」「性格ですね」
と言う支援者が、残念ながら存在します。
でも、はっきり言います。
個性や性格と捉えるのは、やめましょう。
名前を呼ばれたら反応する。
これは、人と関わるうえで大切な行動です。
家庭でも、園でも、学校でも、子どもは人の中で生活していきます。
呼ばれても反応しない状態が続けば、大人の声が届きにくくなり、集団生活に馴染みにくくなるのは明らかです。
もしお子さんが声をかけても反応できないなら、それは大事な行動・スキルがまだ身に付いていない状態です。
だからこそ、練習を始める必要があります。
私の相談室には、知的に重たいお子さんや自閉スペクトラムの特性が強いお子さんもたくさんいます。
それでも、「呼ばれたら振り向く」は、どのお子さんでも必ず獲得できます。
では、一体何から始めればよいのでしょうか。
呼んでも来ないのに、呼んでいないときは来る──まず見るべき「親子のズレ」
まず何から始めるんですか?
最初に「ちぐはぐ」を直すことが大切なんです
ちぐはぐ?
親が呼んでも反応してくれない──
確かにそうかもしれません。
でも、本当にそれだけでしょうか?
「親が呼んでいないときに限って、来る」
というパターンはないでしょうか。
たとえば──
- 親がテレビのリモコンを握ると、呼んでもいないのに気づいたら足元にいる。
- 夕方、火を使っていて忙しいのに、ベタっとまとわりついてくる。
- トイレに行くために少し離れただけなのに、「ギャー」と言って追いかけてくる
ここを掘り下げると、こうも言えます。
親が来てほしいときに、子どもは来てくれない。
それと同時に──
呼んでもいないし、むしろ来てほしくないときに限って、子どもがやって来る。
この、ねじれてしまっている関係を、「ちぐはぐ」と表現しています。
あるいは──
親子の主導権のズレ
と、少し厳しい表現でお伝えすることもあります。
このような「ちぐはぐな関係」が続いていれば、「どう声をかければいいか」「どんなタイミングで言えばいいのか」分からなくなってしまうのも当然です。
支援では何をするのか?
このねじれやズレに目を向けるところから始めます。
心当たりありませんか?
…ありますね。
呼んでも来ない子に、まず「離れる」を教える
では、「ちぐはぐ」「主導権のズレ」を直すためにどうすればよいか。実際にイメージできるようにお伝えしますね。
リビングに小さいテーブルと椅子を用意します。子どもが大好きなおもちゃ・おやつも準備しましょう。
すると、子どもはとことこと寄ってきます。椅子に座らせて、一緒に遊んだり食べたりします。
しかし、数十秒ほど過ごしたところで──
はい、おしまい!
と言って、子どもを椅子から立たせ、椅子を“ガタンッ!”と閉じてしまいます。
でもそんなことしたら…
はい、十中八九こうなります。


子どもは、もの凄く怒るでしょうし、椅子をこじ開けようとするはずです。
でも、大人は椅子をガッチリ掴んで離しません。もちろん、怒ったり叱ったりもしません。
親御さんが、内心ハラハラしていることは分かっています。もちろん支援者がそこをきちんとサポートします。
子どもがようやくあきらめ、おもちゃで1人で遊び始めます。
その瞬間を見計らって──
おいで!
と、大人が満面の笑みで呼びます。
すると──
!
きちんとした方法で練習を行えば、あれだけ名前を呼んでも来なかった子でも、即座に来るようになります。
これが、親御さんが主導権を取り戻す練習のイメージです。
上記は、練習の考え方をイメージしやすいように簡略化して紹介したものです。保護者の方が文章だけを読んで実施するものではなく、専門家の指導・監修のもとで行う必要があります。
出張療育でどのように練習が始まるのかは、漫画でも描いています。
冒頭の11ページはこちらから読むことができます。


呼ばれたら笑顔で振り向く──“あたりまえ”をつくる子育てへ
呼んでも振り向かない子に、まず「離れる」ことを教える。
不思議に思われるかもしれません。
しかし、「ちぐはぐ」な関係を直し、大人側がきちんと主導権を持つためには、これが必要です。
子育てや幼児教育の現場で「大人が主導権を持ちましょう」なんて言うと、受けが良くありません。
でも、親御さんが主導権をしっかり握っていないと、子育てはどんどん難しくなっていきます。
道を歩くとき、お店に入るとき、電車に乗るとき──
親が指示を出しても子どもが反応しない状態では、そもそも安全に過ごすことさえ難しくなります。
「呼んでも振り向かない」という悩みの裏には、
今回紹介した“主導権のズレ”が隠れていることが多いのです。
「主導権を取り戻す」ことは、子どもを叱って従わせることではありません。
むしろ逆です。
子どもが、安心して親の声を頼りにできる関係を育てていくということです。
呼ばれたら笑顔で振り向く。
これが“あたりまえ”になるように、私はご家庭に出張して療育を行っています。
当相談室の出張療育がどのように始まるのか、漫画で紹介しています。冒頭の11ページはこちらから読むことができます。


出張療育を漫画で紹介しています
言葉が出ない、名前を呼んでも振り向かない、かんしゃくが激しい──。
実際のご家庭をもとに、出張療育がどのように始まり、親子がどう変わっていくのかを漫画で紹介しています。
冒頭11ページを公開中。全編冊子は無料で郵送しています。
実際に当相談室の支援を受けられた方のリアルな声を読むことができます。




「名前を呼んでも振り向かない」は、練習で必ず上手になります。当相談室では、ご家庭にうかがい、お子さんの反応を見ながら、初回から練習を開始します。
当相談室の出張療育をご希望の方は、下記よりお問い合わせください。








