「手をひらひらする」これは一体何?
療育で支援を行っていると、お子さんの“不思議な行動”について親御さんから相談を受けます。
ずっと「手をひらひら」しているんです……。


ネットで調べてみると、「常同行動」「自己刺激行動」など、何やら見慣れない言葉が出てきます。
さらには、「自閉症」「発達障害」といったフレーズまで目に入るので、親御さんの不安はますます強くなります。
確かに、自閉スペクトラム症と診断されるようなお子さんに多く見られる行動ではあるのですが、親御さんからすれば──
これは一体何?
という疑問が真っ先に浮かびます。
今回の記事では、この「手をひらひらする」という行動を、一体どう考えればよいのか、お話しします。
「手をひらひらする」のはなぜ?──見た目ではなく「役割」を見る
「手をひらひら」という行動自体が不思議なので、見た目が気になってしまうのは無理もありません。
しかし見た目以上に、その行動が「どんな役割を果たしているか」という点に着目してみることが大切です。
もし「手をひらひらさせる」ことが──
- 相手してくれ(注目)
- 食べものくれ(物・活動)
- 涼しいとこ連れていってくれ(逃避・回避)
このような「〇〇してくれ!」という役割であれば、見た目の不思議さはさておき、まだ「分かりやすい」かもしれません。
ところが──
そういう感じではなくて、いつまでもやり続けているんです……。
という場合、すなわち、人を求めているわけでもコミュニケーションの手段でもないという場合は──
感覚を得ること自体が、その行動の目的
ということになります。
私が出張療育で携わったご家庭の中には、
20~30分どころか、放っておくと1時間ずっとやっています。
そんなお子さんもいました。
「手をひらひら」は続けさせていい?──「物」へ発展させるという考え方
「手をひらひら」していると、それが気持ち良いのか、不快感がスッキリするのか、手持ちぶさたが解消されるのか──
いずれにせよ、何らかの感覚を得ていることは分かりました。
それでも、親御さんのモヤモヤはスッキリしません。なぜなら──
これ、続けさせて良いのだろうか?
という疑問が解消されないからです。
ネットで調べると、「無理にやめさせる必要はない」と書かれていることが多いです。この行動はどうしても「やめさせる/やめさせない」という話に陥りがちです。
では、私は親御さんにどうお伝えしているかというと、
「物」へ発展させてあげましょう
こんなふうに方向性を示します。
自分で自分を刺激して、それで満足というのは、正直寂しいです。
それならば、自分だけで完結させるのではなく、物を使った活動にステップアップさせていくという視点です。
実は、過去記事でかなり具体的な話をしているので、興味がある方はこちらをご覧ください。
なぜ「物」がいいのか──一石二鳥どころか三鳥四鳥
「手をひらひら」から、物を使った活動へ発展させていく。
これは、一石二鳥どころか、三鳥・四鳥──いいえ、五鳥・六鳥くらいの価値があります。
たとえば、
- 遊びのレパートリーが広がる
- それによって発達が促される
- 一人で遊べるようになり、情緒が落ち着く
- 大人とのコミュニケーション場面が生まれる
- 課題や作業にも取り組みやすくなる
- そして、「見た目」が良くなる
どれも大切なポイントですが、今回は最後の「見た目」について少しお話ししたいです。
「見た目なんて気にしなくていい」
そういう考え方もあるでしょう。
でも私は、見た目はとても大切だと思っています。
以前、出張療育で伺ったご家庭で、お姉ちゃんが妹の「手をひらひら」する姿を見ながら、私にこう言ったことがありました。
なんか怖い……。
そして、もう一言。
一緒に遊びたいのに……。
私は、この言葉がとても印象に残っていますし、ある種の「真理」とすら思えるのです。
「手をひらひらする」という行動は、よく言えば「不思議」です。でも、悪く言えば、
「気味が悪い」
そう思われてしまうことが、現実としてあります。
「それも本人の個性です」と言うことは簡単です。
ですが、本当に家族や周囲の人たちが、ずっとそう思ってくれるでしょうか。
私は、そこまで簡単な話ではないと思っています。
だから、「手をひらひらするのをやめさせましょう」ではなく、「発展させましょう」という視点が出てきます。
たとえば──
何も持たずに、ずっと手をひらひらさせるというお子さんに、
- コンサートで使うペンライトをフリフリする。
- シャボン玉のスティックをパタパタ振る。
- 振れば音が鳴るおもちゃをブンブンする。
など、あの手この手の「お試しキャンペーン」を行うのです。
もちろん、
本人がお気に召すかどうか
これは、ものすごく大切です。こちらが「これなら絶対好きだろう」と思って10個用意しても、10個すべて興味を示さない。
でも、ちょっとお節介っぽくおすすめすると、1個だけは手に取ってくれる。
こういう泥臭い関わりが、私の支援ではザラにあります。
妹の様子を見て、お姉ちゃんが言っていました。
棒をフリフリしているときに音楽を流すと、ちょっと可愛い。
はい、私もそう思います。
「遊び」を探して発展させていくというテーマについては、こちらの記事でも紹介しています。
「やめさせるか」ではなく、「どう発展させるか」
ここまでお話ししてきた通り、大切なのは、
「手をひらひら」をやめさせるかどうかではなく、そこからどう発展させていくか
という視点です。
ただ、実際の療育で「手をひらひら」だけで相談に至ることは、まずありません。
多くの場合、
- 言葉が出ない
- 激しいかんしゃくがある
- こだわりが強い
- 一人遊びがうまくできない
など、いくつもの困りごとの中に「手をひらひら」もあります。
そうなると、
では、何から支援を始めればよいのか?
という問題が出てきます。
ここを親御さんだけで判断して療育を進めるのは、かなり難しいと思います。
だからこそ、実際のお子さんの様子を専門家に見てもらい、何から着手するのかを整理してもらうことをおすすめします。
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