生成AIで療育教材を作るときに大切なこと──生活の中に「良い習慣」を増やすために

アイキャッチ
目次

発達支援の教材づくりに生成AIを使うメリット

生成AIが広く使われるようになり、私も出張療育やコンサルテーションの場面で活用することが増えてきました。

  • 手持ちぶさたな時間にソワソワしてしまう
  • 市販の教材では、ちょっと合わない
  • もっとやる気が出る教材が欲しい

このように、療育や保育の現場では、「その子に合った教材」が必要になる場面がたくさんあります。

生成AIですから、やはり「生成してなんぼ」です。

次のパートでは、私が実際に作った教材をご紹介します。


生成AIで作った療育教材の具体例

お母さんからは、こんな相談がありました。

ちょっとした手持ちぶさたな時間にソワソワして、自己刺激行動が始まるんです…

お子さんが好きなもの…新幹線でしたよね?

はい、特に東海道新幹線です。

それなら、東海道新幹線をテーマにしたプリントを作ってみよう、ということになります。
完成したのはこちらです──

三河安城がある!

はい、そこがツボだったようです。
ぬりえにするもよし、眺めるだけでもよしです。


続いて別のお子さんのケース。鉛筆の練習を進めている場面で、こんな相談がありました。

市販の教材だと、カラフルだったりイラストがあったり、気が散るようです…

これは、よくある悩みです。
というわけで、今度は色やイラストなど余計な刺激はなくしたシンプルな線結び教材です。

一見地味ですが、ありそうでない、「シンプルイズベスト」な教材です。幅を細くしたり、「への字」型や曲線にしたりなども簡単にできます。


最後に幼稚園の先生からの相談です。

もうすぐ参観日なんですけど、集中が長く続かない子いるのですが…

参観日のテーマは「母の日」とのこと。なるほど、ではこんな補助教材はいかがでしょうか?

母の日という活動のテーマから大きく外れないようにしながらも、その子が興味を持ちやすいものを入れた予備の教材を生成しました。

このように、生成AIを使うと、その子の好きなものを入れることもできるし、反対に、気が散る要素を取り除くこともできます。

教材の情報量を増やすことも、減らすことも、難易度を変えることも自由自在にできるので、とても便利です。


AIに頼むだけでは、子どもに合う教材にはならない

ここまで読むと、

生成AIを使えば、教材が簡単に作れるんですね

と思われるかもしれません。

たしかに、絵が描けなくても、デザインの知識がなくても、子どもの興味に合わせたプリントを作れるようになったことは、本当に大きな変化です。

ただし、実際に作ってみると、これが意外と簡単ではありません。

たとえば、東海道新幹線のプリントを作る場合でも──

  • 駅名を順番通りに並べる
  • 漢字ではなく、ひらがなで表記する
  • 東京、品川…と、駅名の誤りがないか確認
  • 駅や地域にゆかりのあるイラストを入れる
  • その他、細かい微調整

こうした指示を、数回に分けて入れる必要がありました。

最近の生成AIは、日本語の文字もかなり正確に出力できるようになってきました。

しかし、少し前までは、文字化け、ひらがなが崩れるといったことは、むしろ当たり前でした。

生成AIに「東海道新幹線のプリントを作って」と頼めば、それで完成するわけではありません。


子どもの生活を見てこそ、必要な教材がわかる

ただ、教材づくりで本当に大事なのは、生成AIへの指示の出し方だけではありません。

むしろ、それ以前に考えるべきことがあります。
それは──

どんな生活を過ごしてほしいか

この視点が支援では欠かせません。

たとえば、電車が好きなお子さんがいるとします。

だからといって、闇雲に「電車のプリント」を作ればそれでよい、ということではありません。

  • 手持ちぶさたな時間に、余暇を充実させたい
  • 手先の練習で、モチベーションを上げたい
  • 園の活動に、楽しく参加してもらいたい

つまり、生成AIで教材を作る以前に、その子が活き活きと過ごしている姿を想像し、何を実現させたいか整理する必要があります。

何が好きなのか。
どのくらい集中できるのか。
どんな情報なら入りやすいのか。
どの場面で崩れやすいのか。
家族や先生は、その子にどう過ごしてほしいのか。

こうしたことを考えずに教材だけを作っても、あまり意味がありません。

電車が好きだから電車プリント。
恐竜が好きだから恐竜プリント。
ハサミが苦手だからハサミ教材。

それだけでは、支援としては足りません。

大切なのは、その教材を使うことで、その子の生活の中にどんな時間を作りたいのかです。


AIに頼むだけでは、子どもに合う教材にはならない

以前の記事で、行動上の問題を支援する際には、「まだ目に見えない行動」を考えることが大切だと書きました。

あわせて読みたい
問題行動は“無視”では減らせない──健康的な習慣で上書きする支援 問題行動はどう直す?──支援の正しいスタート地点 前回、「問題行動は無視してください」という、いわゆる“教科書通りのアドバイス”が、実際の子育てでは到底無理な話で...

問題行動が起こってから、それをどう止めるかではなく、そもそもどんな良い行動をして過ごせるようになるか。

今回の生成AIの活用も、それと同じです。

手持ちぶさたで不穏だった時間が、好きなものを見ながら落ち着いて過ごす時間になった。

鉛筆の練習がやりやすくなって、より前向きに取り組めるようになった。

“集中力のない子”が、クラスの活動に、その子なりに参加できるようになった。

こうした姿は、最初から目の前にあるわけではありません。

その子の好きなものや、生活の流れをふまえて、「こう過ごせたらいいな」という姿を先に考える。

生成AIは、それを補助してくれる便利な存在ということです。


出張療育だから見える、子どもに合った教材の作り方

生成AIは、療育や保育の教材づくりにとても役立ちます。ですが、今回の記事は、便利なものを作れるツールをおすすめするものではありません。

便利なものはもちろん活用しつつ、やっぱり大切なことは、生活を充実させるという視点です。
そのためには──

その子が何を好きなのか。
どんな場面で困っているのか。
家族や先生と、どんな時間を過ごしてほしいのか。

実際に子どもが過ごす生活の場をしっかり見ることが、やはり大切です。

私がご家庭への出張療育にこだわり続ける理由も、そこにあります。

「健康」「良い習慣」を、生活の中に増やしていくこと──
これが、支援者としての腕の見せ所だと考えています。


生成AIを使って音読と漢字の教材を作った記事はこちら。
1年前なので、今はもっと進化しているはず…。

あわせて読みたい
漢字練習が地獄?音読が苦行?──“楽しい”を引き出すAI教材のすすめ 宿題の時間になると、空気がピリつく… そんなご家庭、意外と少なくありません。 今回は、主に学齢期のお子さんへの支援についてお話しします。 私の相談室では、就学前...

当相談室では、言葉の遅れやかんしゃくなど、発達や行動に関する悩みを出張療育で支援します。

千葉県・東京都にお住まいの方で支援を希望される方はこちらからお問い合わせください。

あわせて読みたい
「こども療育相談室ぷろんぷと」相談申し込みの流れ──お問い合わせから出張カウンセリング開始まで 相談してみたいけど…どうやって申し込めばいいんですか? それでは順番にご説明します。 ①お問い合わせ 最初は何をすればいいですか? まず 「お問い合わせページ」 か...
当相談室のご案内
  • 対象年齢: ご相談時点で3歳未満のお子さま
  • エリア: 千葉県・東京都を中心に出張対応
  • 支援方法: 応用行動分析学(ABA)に基づいた支援プランを個別にご提案
  • サポート内容: ご家庭での療育支援、親御さんへの具体的アドバイス

📩 お問い合わせは下記フォームよりお願いいたします。

目次