子どもの「なんで?」「どうして?」が止まらないときに考えたいこと

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子どもの「なんで?」「どうして?」が止まらない

出張療育で支援している親御さんから、コミュニケーションに関する相談をお受けしました。
その内容は──

この後スーパーに行くからね

どうして行くの?

夜ごはんのおかずを買いに行くのよ

どうして?

……だってお腹すくでしょ?

どうしてお腹すくの?

……。


このように、「なんで?」「どうして?」と何度も聞かれるという相談です。

最初は答えているけれど、だんだん答えようがなくなる。どこまで付き合えばいいのか分からなくなる。むげにするのもかわいそうだし…

私は家庭に出張して療育を行っているので、このような親子のやりとりを直接見て支援することができます。

では、このような相談にどうお答えしているのか。今日は、そのことについて書いていきます。


すべての「なんで?」に答え続ける必要はありません

これまで支援を続けてきたご家庭なので、私も遠慮なく親御さんに伝えることができます。

お母さん、こんなやりとり、ちっとも楽しくないし、イライラしますよね?

はい(泣)


ここで、お母さんには、子どもとのやりとりについて考え方を変えていただく必要があります。

そもそも、お母さんの「スーパー行くからね」は、一日のスケジュールや見通しを伝えているだけです。

親子で何ターンもやりとりを続けるつもりなんて、まったくないわけです。
本来あるべきコミュニケーションは…

この後スーパーに行くからね

はーい(終了)


これでおしまいです。
コミュニケーションというよりも、ただの予告・確認です。

「そりゃそうでしょ」と思うかもしれませんが、その場にいるお母さんにとっては、結構難しいのです。

一体なぜでしょうか?

「1ターンで終わる」ことも大切なコミュニケーションです

子どもから「どうして?」、「なんで?」と聞かれると──

親として答えてあげなきゃいけないような気がして…

普通の親であればそう考えます。確かに、子育て本やネット記事では──

「子どもの話は丁寧に聞いてあげましょう」

と書かれています。


ところが、この「丁寧に聞いてあげる」とは、親子のやりとりの“ターン数”を闇雲に増やすということではありません。

「1ターンで終わる」方が大切な場面なんて、社会でいくらでもありますよ

とお伝えして、親御さんと支援の前提をそろえていきます。

「ハンカチ持った?」には「持った」
「夕飯はハンバーグよ」には「やった!」
「いってらっしゃい」には「いってきます」

「どうして?なんで?」と発展させていく必要などなく、きれいさっぱり「一刀両断」で終わった方が気持ちよい場面だって確かにあるのです。

でも、言葉の遅れやコミュニケーションに難しさのあるお子さんと毎日過ごしている親御さんにとっては…

「子どもの会話にはすべて付き合ってあげるべき」「子どもにとって好奇心なんだから…」

と、思い悩むのです。


「なんで?」「どうして?」がパターン化すると、集団生活でつまずきやすくなる

今回のお子さんのような、

人とやりとりする=「ターン数を稼ぐ」

というパターンが染みついてしまうことを、私は支援者として「基本的によろしくない」と考えています。

親御さんは、我が子だから耐えられるかもしれませんが、それこそ機械的に「どうして?」「なんで?」が続けば、他人なら、やはりうんざりします。

特に、幼稚園のような集団では、その子のためにペースを合わせることはできません。こだわりや“いつものパターン”は通用しなくなります。

その結果、不穏になったり、かんしゃくを起こしたりするようになると、子育てや保育がどんどん難しくなっていきます。

なので、私の療育では、なるべく幼少期から「1ターン終了」パターンを家庭の中で練習するようにしています。


出張療育で「なんで?」以外の返答を練習する具体例

では一例をご紹介しましょう。

大人が声をかけると、そのほとんどに「なんで?」と言ってしまう、なかなか強者(つわもの)のお子さんがいました。

私(支援者)とご両親がリビングの椅子に座って話をしています。子どもは少し離れたところで1人遊びをしています。

時々、大人が話を中断し、その子の近くに行って声をかけるのですが──

  • お名前教えてくれる?
  • 鼻の長い動物ってなんだっけ?
  • ご飯を食べる時のごあいさつは…

このような声かけをします。内容については、事前に私がカンペを用意します。

声かけに対して、子どもが「なんで?」と言ったら、大人は注意も叱りもせずに、スッと背を向けて椅子に戻る。

「ゾウさん」のように、答えられたら、「おぉ、よく知っているね!」と褒める。

こんな、分かりやすい練習です。

このお子さんの場合、脊髄反射のごとく「なんで?」と答えてしまうので、“なんで率”は約90%でした(きちんとデータを取っているということです)。

しかし、これを繰り返していると…

それは、アフリカゾウだね~

など、「なんで?」以外の返答が急増しました。両親も私も、拍手喝采です。

そこから少しずつ難易度を上げていきます。

たとえば、「今日の夕飯はからあげだって」のように、「やった」「からあげ好き」など、子どもが自由に返せる声かけをしたり、「今日はパパの帰りが遅いらしいよ」のように、「なんで?」と聞いてもよい声かけをしたりします。

大切なのは、「なんで?」を一切使わないようにすることではありません。

必要のない場面では使わず、必要な場面ではきちんと使えるようにする。

このような練習を、出張療育とホームワークで続けていきました。


「なんで?」をなくすのではなく、使い分けられるようにする

それでは今回のまとめです。

子どもの話を丁寧に聞くことは、もちろん大切です。

しかし、「丁寧に聞く」とは、子どもの言葉すべてに反応し、子どものペースでやりとりを続けることではありません。

「1ターン終了」が自然な場面もあります。「なんで?」「どうして?」が続くと、相手だって窮屈に感じます。

そうした形を教えないまま、「子どもの話にはすべて付き合ってあげる」という関わりを続けてしまうと、それがかえって子どものつまずきになることがあります。

「なんで?」が悪いわけではありません。大切なのは、必要のない場面では使わず、必要な場面ではきちんと使えるようにすることです。

そのために、私は出張療育の中で、家庭の中の何気ないやりとりを見ながら、コミュニケーションの練習を行います。

こういうことを、3歳になる前から子育ての当たり前にしていく。
それが、私の支援で大切にしていることです。


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  • サポート内容: ご家庭での療育支援、親御さんへの具体的アドバイス

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