言葉の遅れに、出張して療育を行うとはどういうことか
通常、「療育」というと、“親が子どもを連れてどこかに通うもの”というイメージが強いかもしれません。
一方、当相談室のスタイルは、その逆です。
千葉県・東京都を中心に、代表の私がご家庭に出張し、その場で療育を行うという形を10年以上続けてきました。
どこかに相談室を構えて、そこに通っていただく形にしようか検討したこともありましたが、結局、私がご家庭に訪問する形が一番良いと思っています。
なぜかというと──
お子さんと親御さんが実際に生活する場で療育を行うことにより、質の高い支援が実現できるからです。
今回の記事では、最も相談の多い「言葉の遅れ」をテーマに…
自宅で療育を行うってどういうこと?
という疑問にお答えしていきます。


言葉が出始めたのに、発音がはっきりしないときは?
一言で「言葉の遅れ」といっても、実際にご家庭でどんな支援をするかと言えば、ケースバイケースです。
例えば、無発語で“泣く・わめく”が言葉の代わりになっているようなケースでは、このような“かんしゃく”は速やかに無力化しなければなりません。
そうやって、情緒が穏やかになってくると、言葉や生活習慣の獲得が容易になっていきます。
そこでさらに、動作や口の形の真似ができるようになってくると、いよいよ音声の模倣を練習する段階に入っていきます。
随分、音も出るようになってきたのですが…
ですが?
どうも発音がゴニョゴニョしているのが気になって…
なるほど──
お母さんとしては、子どもが大好きな「きかんしゃトーマス」を、きれいに「トーマス」と発音してほしいわけです。
ところが子どもは…
オーマス!(トーマス)
となってしまいます。青色のきかんしゃのエドワードに至っては「アーボ」です(ポケモン!?)。
子どもなりに言おうとしていることは、お母さんにも伝わっているわけですが、お母さんが言ってほしい発音(言葉)にはなっていないわけです。
こんなときどうすればよいでしょうか──
答えは、家庭の中にあります。
正しく言わせるより、「使える言葉」も「使う機会」も増やしていく
お母さん、今日からこのキャラクターは「オーマス」にしてください。
トーマスじゃなくて?
そうです。ゴードンは「ゴーン」でいきましょう。
どうしてこんなアドバイス(指導)をしたのでしょうか。一言で言えば──
言葉なんて、使ってなんぼ
ということです。
そのご家庭には、トーマスのきかんしゃ、本、グッズ、生活用品などが溢れるほどありました。トーマスがその子にとって「生きがい」だったのです。
片言の言葉が出るようになったとはいえ、まだ発音はきれいではありません。でも、大好きなトーマスですから、子どもはそれっぽく音を真似し始めました。
トーマス→オーマス
パーシー→パーチー
エドワード→アーボ
ゴードン→ゴーン
ヒロ→ヒオ
このような「トーマス言葉集」を作り、自宅の壁にA3用紙で貼り付けました。そして、この言葉集を日々アップデートしていったのです。
言葉は使ってなんぼ。
すなわち、その子が理解でき、実際に使える言葉を増やし、使う機会も増やしていくことを重視したのです。
支援者が家庭の中に入るから、その子に合った支援が見つかる
このような療育のアイディアは、支援者が家庭に直接入るからこそ、浮かんでくるものです。
もちろん、その子がどのようなものが好きか、どんな志向性があるかなどは、相談室に通っていただく形でも、親御さんから聞くことができます。
しかし、おもちゃケースの中、本棚、生活グッズ、登録しているサブスクやYouTubeチャンネルなど、日頃の環境を直接見て得られる情報は桁違いです。
今回のケースで言えば、その子にとってトーマスがどれほど価値があるものか、瞬時に分かるのです。
また、親御さんが子どもの発音を気にしていることも、生活の中の何気ないやりとりからうかがい知ることがあります。
アッ!アッ!オーマス!
ほら!トーマスって言ってごらん!
ちょっとドキッとされるかもしれませんが、言葉が遅れている子どもに対して…
- 発音の訂正にこだわる
- 繰り返しやり直しさせる
- 何度も指摘する
このような関わりによって、言葉を使うこと自体が嫌悪的になったり、発声の頻度が低くなったりしているケースは、これまでたくさん見てきました。
もし家庭の中でそのような傾向が見られればすぐにお伝えできますし、何より「ではどうすれば良いか」を…
すぐにその場で、お手本を見せることができます。
これは家庭での支援の醍醐味と言えるでしょう。
療育で親御さんが知りたいのは、「うちの子にはどうすればいいか」です
今回の話を「言葉の練習では子どもの興味関心を大切にしましょう」とか「親子の関わりに注目しましょう」とまとめることもできなくはありません。
でも、言葉の遅れに悩む親御さんが知りたいことは、そんな一般論ではありません。
うちの子にはどうすればいいのですか?
という、個別具体的な話です。
私が10年以上、出張による療育支援を続けてきたのは、そのご家庭の生活に根差した支援を行うためです。
言葉の遅れの支援において大切なのは、その子が普段の生活の中で、実際に使える言葉をどう増やしていくかを考えることです。
言葉の遅れについて解説した記事です。前編・後編で詳しく説明しています。


言葉が遅れている子に「ちょうだいサイン」を教えてはいけないのはなぜか。
療育の常識を真っ向から否定するかなり挑戦的な記事です。


言葉の遅れに「ちょうだいサイン」がNGなら、何を教えてあげればいいのか──
それにお答えする記事はこちらです。


当相談室では、言葉の遅れや激しいかんしゃくなど、発達や行動に関する悩みを出張療育で支援します。
千葉県・東京都にお住まいの方で支援を希望される方はこちらからお問い合わせください。


- 対象年齢: ご相談時点で3歳未満のお子さま
- エリア: 千葉県・東京都を中心に出張対応
- 支援方法: 応用行動分析学(ABA)に基づいた支援プランを個別にご提案
- サポート内容: ご家庭での療育支援、親御さんへの具体的アドバイス
📩 お問い合わせは下記フォームよりお願いいたします。









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