宿題の時間になると、空気がピリつく…
そんなご家庭、意外と少なくありません。
今回は、主に学齢期のお子さんへの支援についてお話しします。
私の相談室では、就学前までの支援が多いのですが、入学後も継続するご家庭もあります。
そうした継続支援のなかで、たびたびぶつかるのが「学習面での壁」です。
とくに多いのが、小学校の宿題──なかでも「漢字練習」と「音読」に関するご相談です。
たとえば音読。
スムーズに読めないお子さんに対して、「繰り返せば慣れるはず」と考え、何度も読ませようとする保護者の方がいます。でも、残念ながらそう単純な話ではありません。
漢字練習も同様です。
よくあるのが、同じ文字や熟語を延々と書かせる方法。これ、苦行となってしまうことが多いです。
さらにいえば、教材そのものが「つまらない」という問題もあります。
最初は面白かった音読の文章も、何度も授業や宿題で繰り返されるうちに飽きてしまいます。漢字ドリルの例文も、正直なところちょっと堅めの内容が多いですよね。
こういった“楽しくないもの”を延々と反復していれば、学習そのものが「嫌なもの」になってしまいます。それだけでなく、親子関係もギクシャクしがちです。
たとえば——
読み方がたどたどしかったり、読み飛ばしがあったり。書き順や送り仮名を間違えることもあるでしょう。
そんなときに指摘すると、「チッ」と舌打ちが返ってくる……なんていうことも。
これでは、親にとっても子どもにとっても、苦しい時間になってしまいます。
“やらせる”から“やりたくなる”への一歩
こういうとき本当は、その子の興味・関心に合った教材や、楽しく取り組める工夫があるとベストです。
でも、そんな都合のいい教材って、市販ではなかなか見つかりません。
じゃあ保護者の方が作る?……うーん、それもけっこう大変ですよね。
毎回オーダーメイドで問題文や例文を考えて、子どものツボに合わせて……って、もはやプロの仕事です。
そこで、最近とても頼りになる存在が登場しました。
そう、生成AIです。
たとえば今回ご紹介するのは、あの有名な「ChatGPT(チャットジーピーティー)」。
名前は聞いたことあるけど、使ったことはない──という方もいるかもしれませんね。
これは、LINEのような感覚でAIとチャットしながらやり取りできるツールです。
使い方はとてもシンプル。
「こんな教材を作ってください」と入力すれば、
「では、こんなのはいかがでしょうか?」と、数秒で提案してくれるんです。
まさに、家庭学習の強力アシスタント。
次のセクションでは、実際のやり取りの例をご紹介します。
どんなふうに教材ができあがっていくのか、ぜひ見てみてください。
🔗 ChatGPT(教材づくりに使ったAI)はこちらから使えます:
https://chat.openai.com/
※アカウント登録(無料〜有料)で利用できます。
子どもの“好き”を活かして、AIと一緒に漢字ドリルを作ろう
たとえば、ある小学2年生の男の子。
この日の宿題は「教科書に出てきた漢字をノートに書く」というものでしたが、どうにも気が乗らない様子です。
そんなとき、ちょっとだけ生成AIの力を借りてみることにしました。

小学2年生の子どもに楽しく漢字練習させたいです。漢字ドリルの例文そのままではつまらないから、ポケモンを題材にして、オリジナルの漢字ドリルを作りましょう。
と、入力してみたところ——



ふふ、なるほど。子どもが漢字を覚えるために、ポケモン様の力を借りると。ついに教育もエンタメに屈したか…。いいでしょう。
どうせなら、全力でやってあげます。どうせ2年生だし、私の知識量の99.999%は使わなくて済みそうです。
返ってきたのは……ちょっと生意気な口調?
実は、ChatGPTには「性格設定」のような機能もあって、用途によって雰囲気や語り口を調整できます(今回はその説明は割愛しますが)。
そして彼(彼?)が即座に返してきたのがこちら:
ピカチュウをさわると、【でんき】でビリビリするよ!
イーブイが【のはら】を走っている。しっぽがフリフリしてかわいい!
リザードンが空を【たかく】とんで、火をふいている!
ミュウが「こんにちは」と【い】った⁉︎ ポケモンもしゃべるの?
水【よう】日はゼニガメの日!みずタイプポケモンとあそぼう!



他の漢字で続きがほしいなら、言って。仕方ないからやってあげる。
「えっ、こんなの一瞬で!?」と思った方——
はい、私も同じでした(笑)
数秒で、即席ポケモン漢字ドリルが完成。
しかも内容は、子どもの“好き”がしっかり反映された世界観。飽きない、楽しい、笑える……ついでに漢字も覚えられる。
このあと、練習したい漢字や熟語、使いたいキャラクターなどを伝えていけば、どんどん“うちの子専用”のドリルが完成していきます。
音読が苦手でもOK!好きなキャラと読む“特別な一文”
さて、ここからはもうちょっとチャレンジングなお願いです。
今度は、「音読が苦手なお子さん」向けに、オリジナルの音読教材をAIに作ってもらいます。
お願いした条件はこちら:



次は音読の文章を作ってください。条件は次の通りです。
・登場する漢字は、「魚」、「広」、「前」、「元」。
・1年生までに習った漢字も使ってよい。
・ポケモン、ドラえもん、ちびまる子ちゃんのキャラクターが登場。
……はい、無茶ぶりですね。わかってます(笑)
でも、ところがどっこい。出てきた文章がこちらです:
のびたと まる子と ピカチュウの ひみつの おでかけ
のびたは いけのある こうえん に きました。
広い ばしょ に すわって マンガ を よんでいます。
そこに まる子が やってきました。
「こんにちは、まるちゃん。」
「おや、のびたくん。」
そこに ピカチュウも 元気にとびだして きました。
「ピカ ピカー!」
三人は いっしょに 魚を つりに いくことに しました。
魚が とれる ばしょは こうえんの 前にある 大きな いけです。
「ここは 広いから つりが できるよ!」
と まる子 が いいました。
「前にも ここ で つった こと が ある!」
と のびた が いいました。
ピカチュウ は つりざお の かわり に しっぽ を つかいました。
魚 は 一ぴき も つれません でした。
でも 三人 は たのしい じかん を すごしました。
「えさの 元を とれなくて くやしいねえ。 だけど、いい 一日 だったよ!」
と まる子 が わらいました。
笑っちゃいました。これはすごい。
ストーリーの破壊力もさることながら、ちゃんと指定した漢字も自然に織り込まれています。
子どもが好きなキャラクターを通して、読みたくなる・声に出したくなる工夫がたっぷり詰まっています。
オリジナルの漢字ドリルに続き、音読教材までもこのクオリティで、しかも数秒で出てくるなんて……。
これはもう、素直に驚きです。
「もっとやりたい!」を引き出す魔法、それが“楽しさ”
学びにとって、いちばん大切なエネルギー。
それは──「楽しい」という気持ちです。
そんな気持ちを子どもが持てたとき、学習効果は何倍にも膨らんでいきます。
「やらされる」ではなく、「やってみたい」と思えること。
そこに、学びの本質があります。
そして、そのためには子どもの興味・関心に合った教材が必要になります。
……が、そんな理想的な教材、なかなか市販では見つかりません。
かといって、一から作るとなると、大人側にとってもなかなか大変です。
今までは、保護者と支援者が一緒に頭をひねって、地道に形にしていくしかありませんでした。
でも──今は違います。
教材づくりは“親子の遊び場”になる──ちょっとの工夫で、大きな変化を
「ちょっとの遊び心」があるだけで、学習はもっとスムーズに、楽しく進むことがあります。
たとえば——
- 漢字ドリルや音読教材だけでなく、算数の文章題も作れる
- マンガ、アニメ、芸能人、ゲーム、ペット、お菓子……なんでもコラボできる
- チャットで指示を出せば、たった数秒でアウトプットが返ってくる
こんな便利な道具が登場した今、使わない理由が見つかりません。
しかも──使ってみると、大人のほうが楽しくなってきます。
気づけば、子どもより夢中になっているかもしれません。
でもここで、忘れてはいけない大事なポイントがあります。
「学習させること」だけが目的ではないということ。
むしろ、教材を一緒に作るというプロセスそのものが、
親子で学びを共有する、かけがえのない時間になるのです。
むしろ、教材を作るという体験そのものが、親子での学びの時間になるのです。
「この子、この言い回し好きだよね〜」
「え、それ入れたら笑うと思う!」
そんなやりとりを重ねる中で、
気づけば親子のコミュニケーションも自然に深まっていきます。
学校の先生にひと言相談して、教室で友達と一緒に使えるようになったら……それもまた、素敵な広がりです。
“遊び”がもたらす、ほんとうの支援
「教材を作る」ことがゴールではありません。
それを一緒に笑いながら楽しむ時間こそが、支援のタネなのです。
私は、いつもこの視点を大切にしながら、教育相談に取り組んでいます。
「どうやって教えるか」だけでなく、
「どうやったら笑って取り組めるか」。
そこにこそ、本当の学びのヒントがあると感じています。
学ぶって、本当はおもしろいものなんですよ。
……ってことを、
大人も子どもも、一緒に思い出せたら。
それが、もしかしたら一番の支援なのかもしれません。
この他にも、教育相談ではいろんなユニークな支援を行っています。
興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。


この相談室は、どんなことを相談できるのかな——
もし興味を持っていただけたら、こちらをご覧ください
千葉県・東京都エリアを中心に、出張カウンセリングを行っています。
専門家が、ご自宅を訪問して応用行動分析学(ABA)に基づく支援を行います。
お問い合わせはこちらからどうぞ。