今回ご紹介するのは、実際に私の教育相談を受けられた保護者の体験談です。
親御さんの言葉は、加筆・修正せず、原文そのままを掲載しています。
この体験談には、これまでブログで扱ってきた
「言葉の遅れ」「泣いて要求する行動」「手をつないで歩く」「トイレトレーニング」など、
数多くのテーマがすべて詰まっています。
親御さんの率直な声はそのままで参考になりますし、
過去の記事をいくつか読んでくださった方にとっては、
「個々のテーマがどのようにつながるのか」を整理して理解していただけるはずです。
子どもの言葉が遅い──親はどうすればよい?

1歳8ヶ月の時に相談しました。
1歳過ぎても⾔葉が出てこないことに加え、「人の顔をあまり⾒ない」「つま先歩き」など、
息子の⾏動に違和感を持っていました。
児童センターなどで遊んでいても、お友達とリトミックなどは苦手で、
抱っこを求めたり固まって動かなくなったりしていました。
指差しや簡単な指示動作はできていましたが、コミュニケーションの取りづらさを感じていました。
【解説】1歳8ヶ月で支援の問い合わせ──早期支援に踏み出せるかどうかが鍵
ここでのポイントは、1歳8ヶ月という早期の段階で支援を開始したこと。
これに尽きます。
子どもの言葉の遅れは、親御さんにとって大きな悩みです。
ところが、早期療育を阻む壁が親の前に立ちはだかります。
- 身近に相談できる場所がない
- どうしても不安が強くて一歩踏み出せない
- 家族の間でも意見が一致しない
これらもよくあることですが、一番残念なパターンは──
身近な支援者から「様子を見ましょう」と言われる
このような、専門家によって引き起こされる先送りパターンです。
実は、今回ご紹介している親御さんも──



市の発達相談で療育の相談をしましたが、幼いため様子をみることを提案されました。何もしていない事が苦しく耐えがたい時間でした。
このように専門家から言われていました。しかし…



発達障害を検索する中で、早期療育の有用性を感じていたため、将来の自分達のために療育を受けようと決⼼しました。
専門家の言葉を疑い、そして信用しなかった。
ある意味で皮肉な決断が、お子さんとご家族にとって大きな分岐点となります。
「様子見」と支援を先送りにする問題点については、こちらの記事でも紹介しています。
👉専門家の「様子見でいいですよ」は本当?──支援が遅れる前に知っておきたいこと
言葉を話して欲しい──親御さんとまず取り組んだことは?



⾔葉を話して欲しいことが一番だったので、最初に⾔葉の遅れについて相談しました。
初回相談で息子は 90 分間泣き続けました。
⾔葉を話すためには、泣いて要求を通すことをやめさせる必要性があることや
泣いている時の対応を教えて頂きました。
【解説】激しい興奮・かんしゃくが言葉の発達にブレーキをかける
私の療育では、子どもを怒ったり叱ったりすることは、一切ありません。
できない課題を無理やりやらせることもしません。
初めて見知らぬ人が来たわけですから、子どもは、もちろん緊張するでしょう。
とは言え、安心できるお母さんはすぐ傍にいますし、慣れ親しんだ自分の家です。
それでも終始泣き続けていたということは、
やはり興奮・かんしゃくが相当強いお子さんだったということです。
教育相談では、どうしてここまでかんしゃくが強くなってしまったのか、
その理由とこれからやるべきことを、親御さんに伝えなければなりません。
これは本当に大変なことです。しかし──



息子への接し方が⼤きく変わりました。⾏動変容を促すために必要な接し方を教えて頂き家族で情報を共有、一貫した対応をするようにしています。
このように、家族が一致団結して取り組んでくれました。
その結果──
息子は相談してから半年ほどで⼆語⽂を話すようになり、
2歳8 か月の現在は、自分の気持ちを伝えられるようになり、とてもおしゃべりです。
以前より泣くことが減り、気持ちをコントロールすることが上手になってきていると感じています。
良い変化が生まれました。
これは親御さんの素直さと子育てに正面から向き合った結果です。
激しい興奮・かんしゃくの問題点は、こちらの記事でお伝えしています。
👉2歳・3歳で言葉が出ない原因は“2人の犯人”──支援現場で分かった意外な落とし穴(後編)
日々の子育てで生まれる困りごと──どうすればよい?



「手を繋いで歩く方法」「トイレトレーニング」など⽇々の⽣活で困っている⾏動や気になったことをその都度相談しています。
保育園では集団⾏動をせず一人で遊んでしまうこともある様ですが、
お友達と追いかけっこしたり、手を繋いで散歩に⾏ったりと楽しく登園できています。
【解説】生活の困りごとに、すぐに対応することができる
「言葉が出ればそれで支援はおしまい」
決してそんなことはありません。
むしろ、子どもが成長すれば新たな悩みが出てくることがほとんどです。たとえば──
『落ち着いて外出ができない』
このような困りごとは子育ての中で現れることが多いです。
子どもが成長して自然と色々なものに興味をもつようになり、
自分の足でしっかり歩けるようになると、親子の衝突が生まれやすくなります。
このような場面では強いかんしゃく・拒否が起こることが多く、
親御さんは、我が子にどう関わればよいか戸惑うわけです。
しかし、こんなときこそ、出張カウンセリング・早期支援の効果が最大限に発揮されます。
今回のように、2歳になる前から支援を開始できていれば、
お子さんの行動パターンも生活環境も把握することができています。
すると、何か困ったことがあっても、すぐにアドバイスをすることができます。
さらには、将来の困りごとを見越して、予防のための先手を打つことも可能となります。
具体的にどんな言葉で親御さんに支援したか──こちらの記事が参考になります。
👉3歳児が外で急に走る──道路や駐車場での“飛び出し”を防ぐ練習と考え方
👉3歳で言葉が出ない…それでもトイトレは始められる?──「しゃべれるようになってから」は誤解です(前編)
お子さんの発達や行動に悩んでいる方へ



相談するようになってからは、経験に基づいた⽀援を受けられ、将来を⾒据えた子育てが出来るようになりました。
お子さんの発達⾯や⾏動⾯に不安を感じている親御さんは、苦しい気持ちを抱えていらっしゃると思います。
ご家族だけで悩まず、まずは専門家に相談してみてください。



貴重なお話をありがとうございます。
早期支援の“早期”とは?──当相談室の方針は「3歳未満」です
我が子のことで悩んでいるのに、まわりに相談できる人がいない。
ネットで調べても、どう動けばいいのか分からない。
そんなふうに、ひとりで抱え込んでしまうことも少なくありません。
今回ご紹介したご家族も、最初は同じように不安や迷いの中にいらっしゃいました。
でも、「このまま様子を見ているだけでいいのだろうか」と感じ、
勇気を出して一歩踏み出したことで、“おしゃべりな息子”という未来にたどり着きました。
当相談室では、「早期支援」こそ最も大切と考えています。
そのため、ご相談の受付は「お問い合わせ時点で3歳未満」のお子さんに限らせていただいています。
これは、「3歳を過ぎたらもう遅い」という意味ではありません。
お子さんの発達や行動に不安を感じたら、すぐに相談や支援を開始すべき
という考えを、方針として明確に示したいという思いからです。
子どもの発達は、待ってくれません。
だからこそ、「早すぎるかも」と迷っているまさに今が、大切なタイミングなのです。
「うちも一度相談してみようかな」と思われた方は、どうぞご連絡ください。
初回の相談から、今の状況を丁寧に伺い、一緒に整理するところから始めます。
- 対象年齢: ご相談時点で3歳未満のお子さま
- エリア: 千葉県・東京都を中心に出張対応
- 支援方法: 応用行動分析学(ABA)に基づいた支援プランを個別にご提案
- サポート内容: ご家庭での療育支援、親御さんへの具体的アドバイス
📩 お問い合わせは下記フォームよりお願いいたします。
実際に相談された方の声を知りたいという方は、こちらをご覧ください。



