出張カウンセリングを選び続ける理由とは?──「家庭で行う支援」は、“楽”なのか?
私は10年前の開業当初から、「出張カウンセリング」という形を選び続けてきました。
ご家庭に私が訪問し、子どもや親御さんと直接関わる──それが私の一貫したスタイルです。
この「出張」というスタイルについて、しばしばこういった誤解をされることがあります。
- 子どもを連れて外に行くのが大変なので、来てくれるのはありがたい
- 慣れている自宅で療育が受けられるから安心
結果として、そういう側面もあるかもしれませんが、実はそれが目的ではありません。
むしろ、私の立場からすれば──

出張支援は、結構しんどいかもしれませんよ
このようにすら考えています。
「えっ、どういうこと?」と感じられた方も多いと思います。
このあと丁寧に、その理由をお伝えしていきます。
出張カウンセリングだから見える“暮らしのリアル”──相談室では決してわからない、子育ての現場
たとえば、ある親御さんから
「子どもの言葉の遅れが心配です」
とご相談いただいたとします。
この訴えだけを聞けば、多くの支援者が
「発語を促す方法」など、言葉に関する支援策を考えることでしょう。
しかし実際にご家庭へ伺ってみると、まったく違う側面が見えてくることがあります。



あの…テレビの画面に、手の跡やご飯粒が付いていますが?



これ実は…
親御さんに尋ねると、次のようなことが分かってきました。
- 毎食、テレビ台につかまり立ちしながら食べるのが習慣になっている
- 親がスプーンで口元に運んでいて、子どもは食器も食べ物も見ていない
- 椅子に座らせようとすると、激しくかんしゃくを起こす
このように、子どもが“どう暮らしているか”という視点で見ると、
「言葉の遅れ」という問題にとどまらず、生活習慣や環境の問題が明らかになります。
食事というのは、人間が生きていく上で最も大切な営みです。
そこに何が起きているのかは、子どもの発達を考えるうえで非常に重要です。
こうした生活のほころびや生活のクセは、
実際に家庭に入り、その空気を感じてこそ見えてくるもの。
相談室で親御さんのお話だけを伺っていたら、
このようなことには気づけなかったかもしれません。
出張カウンセリングの基本は「発見→提案→解決」──家庭で見つけ、家庭で変える、支援の本質
「相談」と聞くと、多くの方はこう思われるかもしれません。
「困っていることを支援者に伝え、それを解決してくれる場」
しかし、現場で実際に行われている支援は、それだけではありません。
むしろ多くの場合、次のようなプロセスをたどります──
・支援者が、生活の中から課題を見つけ出す。
・今何が課題なのか、親御さんに気づいてもらう。
・課題の改善に何が必要か、支援者から提案する。
・具体的な取り組みや練習を通じて、解決を目指す
この「発見 → 提案 → 解決」という流れこそが、
私が行っている教育相談のメインとなる考え方です。
子育ての課題が必ずしも親御さんの口から語られるとは限らず、
むしろ支援者が主体的に探し出すという視点を重視します。
では、このプロセスをより良いものにするには、何が必要でしょうか?それは──
子どもや親御さんの“日常そのもの”を見られる環境に支援者が入ること
これに尽きます。
つまり、家庭という現場で関わるからこそ、
- 多くのリアルな情報が得られる
- 「何が本当の課題か?」を見つけられる
- 「どんな提案が現実的か?」を判断できる
ということなんです。
ここまで読んでくださった方には、もうお分かりかと思います。
「出張は、お子さんや親御さんへの配慮だから」──そう思われがちですが、実はまったく違うのです。
出張カウンセリングは、問題の核心にまで踏み込んでしまう
支援者が家庭に足を踏み入れ、生活の実態が見えれば見えるほど、
問題の核心に触れざるを得ません。
それは時に、親御さんにとってこう感じられることもあるでしょう:
- 「そこが課題だったのか…」
- 「今までとはまったく逆の方向性だ…」
- 「そこには触れてほしくなかった…」
たとえば先ほどの食事の例でも、このようなやりとりになるはずです。



食事を与えるときは、この場所で、このやり方でやってみましょう
けれど、こうした提案が必ずしも“心地よい支援”になるとは限りません。
むしろ、親御さんの中のプライドや葛藤に真正面からぶつかってしまうかもしれません。
子育てについて他者から提案を受け入れることは、決して簡単ではありません。
もちろん、私は親御さんを頭ごなしに否定するようなことはしませんが、
どれほど慎重に言葉を選んだとしても、ときにはこう受け取られてしまうこともあります──
この感覚は、たった一言の言い回しや表情の違いで生まれてしまうもの。
本当に紙一重の問題です。
だからこそ、
出張カウンセリングには、支援者とクライアント双方にとって緊張感があります。
支援の成功・失敗の分かれ目とは?──「素直さ」があるかどうか
出張カウンセリングを通じて、私はこれまで多くのご家庭に様々な支援・提案をしてきました。
そこでの反応は、本当にさまざまです。
- 「なるほど」と納得して、すぐに実行してくださる方
- 「うまくいくかな?」と半信半疑ながらも、とりあえず試してみる方
- 「これは厳しい…」と感じつつも、迷いながら取り組んでくださった方
どの形であれ、実行していただければ、子どもの行動も、家族の生活も変化します。
もし実行しても効果が出なければ、それは全て私の責任です。
ですが、もっとも大きな分かれ道はここです:
支援者からの提案を受けても、保護者がそれを実行しないという場合、
私はその時点で相談の終了をお伝えします。
「もうちょっと続けてみましょうか」、「とりあえず様子を見ましょうか」
そんな言葉で相談を引き延ばすことはしません。
私はお互いの貴重な時間を大切にしたいと思っていますし、
効果を見込めない支援に対して料金をいただくことは、私自身が不本意だからです。
お互いが納得して、気持ちよく支援を続けたい──
そのように考えています。
ブログを書く理由──価値観を共有できるかどうかの確認のために
このブログを毎週更新しているのには、いくつか理由があります。
そのうちの一つが──
この支援者と価値観が合うかどうか
これを読んでくださった方に判断していただくためです。
文章には、その人の考え方や人柄、個性がにじみ出ます。
私自身、「かなりクセのある人間」だと自覚していますし、
誰にでも合うようなタイプではないことも、よく分かっています。
先日、あるクライアントの方がこう言ってくださいました。



先生のブログの語り口は、教育相談の時とまんま同じです
その言葉を聞いて、
これまでブログを書いてきて本当に良かったなと思いました。
いくつかの記事を読んでいただければ、
実際の相談がどういうやりとりになるか想像がつくと思います。
発達相談は、年単位のお付き合いになることがほとんどです。
しかも、家庭に直接足を踏み入れるスタイルですから、
支援者とご家庭の“価値観の一致”は、なおのこと重要になってきます。
このブログを通じて、



この人なら、話してみたい。支援を受けてみたい。
と思っていただけたなら、ぜひご相談ください。
実際に支援を受けた方の声も、きっと参考になるはずです。
お問い合わせにあたっては、こちらの記事もぜひご覧ください。


当相談室では、臨床心理士・公認心理師の専門家が、家庭に直接訪問して支援を行います。
相談を希望される方はこちらからお問い合わせください。
- 対象年齢: ご相談時点で3歳未満のお子さま
- エリア: 千葉県・東京都を中心に出張対応
- 支援方法: 応用行動分析学(ABA)に基づいた支援プランを個別にご提案
- サポート内容: ご家庭での療育支援、親御さんへの具体的アドバイス
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