出張療育で「言葉が遅れている子」にどんな練習をしているの?
出張療育を10年以上続けていますが、言葉に関する相談は特に多いです。そしてほとんどの場合、相談を開始した時点では、お子さんから言葉は出ていません。
言葉の遅れがあるのだから、簡単な単語や普段の生活でよく使う言葉を中心に練習するべきと思われるかもしれません。
しかし、実際はもっと色々な言葉にチャレンジしてもらうことが多いです。「ウサギ」「バス」「リンゴ」といった“ポピュラーな単語”だけではなく、
まだ本人が使わないような言葉も積極的に教えていきましょう
と、親御さんにお伝えすることが結構あります。
具体的には──
- ホイコーロー(中華料理?)
- 仏の顔も三度まで(ことわざ?)
- ロンドン(世界の首都?)
といった、普通2歳・3歳では知らないし、普段の生活でも使わないような言葉やフレーズを、練習の中であえて取り入れるようにしています。
「まだ難しい言葉は、混乱させるだけ?」──親御さんに伝えたいこと
当然、親御さんからすれば──
うちの子にはちょっと難しいのでは…
と思われるかもしれません。
そもそも、普段の会話で使うことはほとんどないでしょうし、ようやく2語文・3語文がでてきたところなのに「えっ、ことわざ?」と思われても無理ありません。
しかし、私は──
“そんな時期だからこそ”です。
と、「よく分からない言葉」を子どもに聞かせ、真似させ、使わせてみるということを支援で行っています。
一体どうしてでしょうか?
意味なんて二の次。「ホイコーロー」の響きを一緒に楽しもう
支援の中で子どもに対してどのような言葉を使うかについて、まず親御さんにお伝えしているのは──
- 最初は、わからなくても、意味不明でも良い
- まずは、つい口から出て使ってみたくなるくらいで全然良い
このように伝えています。なので、音声模倣が少し上手になってきたところで──
ホイホイ、コロコロ、ホイコーロー♪
といった具合に、ちょっと長めの長文模倣をしてみたりするわけです。
子どもが「なにそれ?」みたいな顔をしながら、一生懸命真似する姿が、これまた微笑ましい。
でも、子どもがホイコーロー(回鍋肉)を、野菜とお肉がたっぷりの中華料理であることなんて知るはずもありません。
でも「ホイ♪」とか「コロコロ♪」みたいに、音の響きが楽しいね、面白いねくらいで十分です。
「仏の顔も三度まで」なんてことわざの場合、最初、子どもの頭の中では──
ほとけのかおサンド?(うまいの?)
なんて変換されているかもしれません。よく分からないけど、「ことわざカルタ」でワクワクしながら遊んでいるうちになんとなく覚えてしまった。
それでも良いのです。
言葉は「わかってから使う」のではなく、「使っているうちにわかる」もの
そもそも、言葉の意味やイメージを理解しなければ、言葉が使えない・覚えられないかと言うと、決してそんなことはありません。
とりあえず言ってみた、なんとなく覚えたから使ってみた。これは子どもに限らず大人だってよくあります。
たとえば、私はバスケ観戦が大好きなのですが、最初の頃は実況と解説が何を言っているか、さっぱり分かりませんでした。
日本語としては聞き取れていても、その言葉が何のことなのか、どのプレーのことなのか、最初の1年くらいは全く理解できていませんでした。
じゃあ、言葉の意味が分からないからバスケそのものを楽しめないかというと、決してそんなことはありません。
試合終盤でハラハラドキドキの時間帯は、どうやら「クラッチタイム」というらしい。
味方のパスを空中でキャッチして、そのままダンクシュート決めるカッコいいプレーを「アリウープ」っていうのか。
つまり「おそらく、こういうことなんだろうな」と思いながら、普通にバスケ用語を使っている時期が確かにありました。
つまり、最初は意味も具体例もわからない。間違っていることすら多々ある。それでも使っていたということです。
そうこうしている内に、体験や経験が後からついてきて修正されていく。気が付けばバスケがどんどん好きになって、また新しい言葉を使っては覚えていく。
これの繰り返しだったのです。
「とりあえず言ってみよう」が、子どもの世界をぐんと広げる
もちろん意味や具体的なことをしっかり覚えてから言葉を使い始めるパターンだってあるでしょう。
しかし、特に言葉をこれからどんどん増やしていく、まさに発展途上子どもの場合は──
- 意味や使い方を知らなくて良い
- なんなら間違えても良い
- まずはどんどん使ってみよう
このようなマインドを、支援の際に特に重視しています。
実際、これを意識的にやらないと、それこそリンゴ、ライオン、しんかんせんのようなポピュラーな言葉や、せいぜい身の回りのものくらいしか覚えないし使わないというケースが結構ある気がします。
言葉をお試しでいいから使ってみる、間違っても良いからまずは言ってみる。
この大切さこそ、今回の記事でお伝えしたかったことです。
もう少し年齢が上がれば、未知の言葉に遭遇したときに「調べてみよう」とか「聞いてみよう」という、『要(かなめ)』となる行動を教える段階も来ますし。
【感動エピソード】10年後に、あの「ことわざ」が芽吹いた日
今回この記事を書いた理由は、あるエピソードがきっかけとしてありました。
私が2歳の頃から支援してきたお子さんがいます(現在は小学校高学年)。相談開始当時は、親御さんが言葉の遅れに悩んでいたケースです。
最近、家族で「ホットサンド」を食べることがあったらしいのですが、その時──
ホットサンドで仏の顔も三度までホットする♪
というユーモラスなおやじギャグを披露したことがあったそうです。
お父さんが「仏の顔も三度まで」ってことわざ知ってるの?と聞いたところ──
昔、水流先生とカルタやった。「僕でも怒っちゃう」ってこと!
と答えたそうです。おぉ、なかなか良い線いってる!すばらしい!!
しかしお母さんは──
あなた、昔はかんしゃくっ子だったでしょ…
と、内心ツッコんでいたそうです。そこはご愛嬌にしましょう。
言葉の遅れに関する悩みはとても多いです。こちらの記事が参考になるかもしれません。




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- 対象年齢: ご相談時点で3歳未満のお子さま
- エリア: 千葉県・東京都を中心に出張対応
- 支援方法: 応用行動分析学(ABA)に基づいた支援プランを個別にご提案
- サポート内容: ご家庭での療育支援、親御さんへの具体的アドバイス
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