療育は家の中だけで完結しない──公園もスーパーも、日常すべてが支援の現場になる理由

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「相談室」を持たずに出張で療育を行う理由

こども療育相談室ぷろんぷとには、自前のカウンセリングルームがありません。

なぜなら、親御さんとお子さんに来ていただくのではなく、私がご家庭に「出張」して支援するからです。
10年前に開業したときから、一貫してこの形を続けてきました。


出張する場所として一番多いのは、「ご自宅」です。

言葉の練習も切り替えのトレーニングも、ご自宅のリビングで行います。トイレトレーニングは、もちろんご自宅のトイレ。一人で寝る練習だって、子どもが寝る部屋を目で見て確認します。

支援においては、この「実際に過ごす場所」という視点がとても肝心です。

特別な環境(相談室)でできたとしても、それを日常の生活(自宅)に応用するのは、非常に高いハードルがあります。

それなら、最初から日常の場所で練習した方が、ずっと効果的です。その方が、お子さんはもちろん、親御さんにとっても不要な混乱を招かずに済みます。

出張の療育をなぜ続けるのか?その理由はこちらでも詳しくお伝えしています。
👉私が出張カウンセリングを続ける理由──「家庭に踏み込む支援」が成果を上げる


支援は、家からも飛び出す──自宅以外の療育を紹介

支援の現場がいつも「家」とは限りません。支援は、時に自宅を飛び出すこともあります。

その理由は単純です。親御さんが子育てで悩む場面は、自宅の中だけで完結しないからです。

具体的に、どんな場所ですか?

実は、けっこう“あちこち”あります。


ということで、今回の記事では、この10年間、「自宅以外」でどんな支援を行ってきたか、その一部をご紹介します。

書いていて気が付いたのですが、私自身、正直すべては思い出せませんでした。それくらい、出張支援は自由度が高く、そして“生活そのもの”に根差した支援なのです。


公園、スーパーで療育の支援!?

公園で社会スキルの練習

  • お気に入りの遊具の順番を待つ
  • 大勢の人がいても平気で過ごす
  • “決まったルート”へのこだわり

人気のローラー滑り台では、当然列ができます。

しかし、自閉スペクトラムの特性が強いお子さんにとっては、「並ぶ」「順番を待つ」という状況そのものが、とても難しいです。

そこで、実際にお子さんと手をつなぎ、必要に応じて身体介助をしながら、「列に並ぶ」という行動そのものを、公園の中で教えます。

他にも──

  • 人がたくさんいる環境でもパニックにならず過ごす練習
  • 決まったルートを歩かないと気が済まないこだわりを崩す練習

こうしたことも、公園という“実際の現場”で行ってきました。


スーパーで行う支援──穏やかに買い物するという目標

スーパーでは、こんな困りごとがよくあります。

  • お菓子コーナーへの強いこだわり
  • お店の商品を次々と触ろうとする行動
  • おつかいの練習(小学生)

現地では、「どう歩けばよいか」だけでなく、「かんしゃくが起こったとき、親はどう動けばよいか」その場で、私自身が実演します。

目標は、「親御さんが、子どもと一緒でも安心して買い物ができるようになること」です。

小学生のお子さんでは、買い物そのものを練習にすることもあります。
知的に重度のお子さんであっても──

  • 親に頼まれたものを買う
  • セルフレジで支払いをする

そうした経験は、十分に積むことができます。

そこまでやるんですか?

はい。パンを買って、イートインで食べる練習もしましたよ。


まだまだ続きます。

家の外での支援を行う前に、子どもが親のペースでも歩けるようになることが大切です。
👉3歳児が外で急に走る──道路や駐車場での“飛び出し”を防ぐ練習と考え方


ショッピングモールも公共交通機関も、療育の現場です

ショッピングモールは楽しいはずなのに…

ショッピングモールでは、こんな困りごとがよく起きます。

  • ガヤガヤしたフードコートで不穏になる
  • お気に入りのカート以外は断固拒否

大好きなポテトのはずなのに、フードコートが混雑してくると、大声で拒否する。

マリオでもポケモンでも駄目。アンパンマンのキャラクターカート以外は、絶対に乗らない。そうしたこだわりに、親御さんが振り回されてしまいます。

これらの悩みを、「現地集合」で支援します。

混雑していても、ポテトは美味しい。
たまには、別のカートでも悪くない。

少しくらい不本意でも、人は慣れることができます。支援者がそばにいる環境で、その“慣れる練習”を行います。


電車やバス──交通機関の利用は練習が必須

スムーズに移動できないと、それだけで親子の生活の質は大きく下がってしまいます。だから、交通機関の利用も、支援が必要なテーマです。

  • 電車の到着メロディーでパニックになる
  • バスの降車ボタンが押せないと怒る

こうした困りごとは、決して珍しくありません。

現地に行く前に、自宅で事前練習をする場合もあります。

鉄道ファンの方が、駅のメロディーやアナウンスをYouTubeにアップしてくださっているので、家で十分に慣れてから、実際の駅に行くという方法もあります。

降車ボタンについても──

  • 先に押されても平気になる練習(自宅)
  • そもそも車内で別の行動に没頭する
    (ボタンへのこだわりを薄める)

というアプローチもあります。

……まだあるんですか?

美容院、病院、スポーツクラブ、登校の練習…。正直、全部思い出せません。


それくらい、あちこちで支援しています。


療育は“机上の練習”だけではない──生きる術を子どもに教えること

療育というと、相談室に来て椅子に座り、課題をやる──

そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし、療育は決してそれだけではありません。

大切なことは「生活を支援する」という視点です。

家族で穏やかにお出かけする。
余暇を楽しむ。
健康を守る。
将来の自立に向けて練習する。

これらは、どれも自宅の中だけで完結するものではありません。となれば、支援を行う場所は、自然と“その現場”になります。

特に私は、

  • 生活圏のお店
  • 地域のインフラ
  • さまざまな社会資源

こうした場所を実際に使うことを、「将来を見据えた社会参加」として、とても重視しています。

療育をお勉強的に捉えている人も多いですが、重要なことは「生きていく術」を教える、という視点を持つことです。


親と子には、いつか必ず別れが訪れるからこそ

実際の療育の中で、私は親御さんにこう伝えることがあります。

お子さんが大きくなったら、必ず家から“追い出しますよ”

そして、続けてこう言うこともあります。

「ご両親や、私のほうが先に死にます」

少し胸が痛くなりますよね。でも、これは脅しではなく、自然の摂理です。

たとえどんなに発達の重たいお子さんでも、2歳、3歳の頃から、親元を離れる将来をイメージして支援します。

なぜなら、親と子が別れる日は、必ず訪れるからです。すべての療育は、その日からの逆算になります。

20年後。お子さんが大人の手を離れて、一人でバスに乗り、好きな店でパンを買って食べている。

そういう姿を思い描きながら、それが現実になるように、私は出張支援を行っています。

10年前に支援を始めたお子さんは、小学校高学年・中学生になっています。
👉療育支援を10年続けて見えてきたこと──幼少期から支援に向き合った親御さんたちの歩み


当相談室では、言葉の遅れや行動上の課題などを、応用行動分析学(ABA)に基づいて支援します。
専門家が直接ご家庭を訪問して「生活に根差した支援」を行います。

お問い合わせはこちらから。

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当相談室のご案内
  • 対象年齢: ご相談時点で3歳未満のお子さま
  • エリア: 千葉県・東京都を中心に出張対応
  • 支援方法: 応用行動分析学(ABA)に基づいた支援プランを個別にご提案
  • サポート内容: ご家庭での療育支援、親御さんへの具体的アドバイス

📩 お問い合わせは下記フォームよりお願いいたします。

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