2歳の激しいかんしゃくは、支援で「最優先」になる
2歳の子をもつ親御さんから相談を受けると、
ごく些細なことで怒るので困っています…
「すぐ怒る」「かんしゃくが激しい」「キレるように泣き叫ぶ」など、感情を爆発させるような行動についての相談は、非常に多く寄せられます。
私が出張療育で支援を行う際には──
激しいかんしゃくへの対応は、支援の中でも「最優先」です。
と、親御さんにお伝えします。
なぜ「最優先」なのか。一言で言えば、
百害あって一利なし
だからです。
今回の記事では、なぜそこまで強い言葉で言い切るのか、順を追って解説します。
激しいかんしゃくは、言葉とコミュニケーションの発達を遅らせる
「すぐに怒る」「かんしゃくを起こす」など、興奮して感情を爆発させる習慣は、言葉やコミュニケーションの発達に悪い影響を与えます。
このことは、過去の記事でも触れています。
📒もうすぐ3歳なのに言葉が出ない【後編】──2つの原因と早期支援が未来の分岐点になる理由
これは、それほど難しい話ではありません。
すぐにキレて、興奮のスイッチが入ってしまうと──
- 相手の話を聞かない
- 相手の様子を見ない
- 相手の動きを真似しない
という状態になります。
言葉は、人の声を聞き、表情や口元をよく見て、動きや音を真似するなかで身についていきます。
ところが、些細なことで泣く、わめく、怒るようであれば、言葉を学ぶ機会はどんどん失われていきます。
静かに相手の話を聞くことができなければ、コミュニケーションの土台も作られません。
「言葉の遅れ」を支援するときは、どうやって言葉を増やすかだけを考えても不十分です。
それよりも先に、
何が言葉の発達にブレーキをかけているのか
を見極める必要があります。
幼少期に「感情を爆発させ、相手の話を聞かない」という習慣が作られてしまえば、その後の幼稚園や保育園などの集団生活にも、当然大きな影響が出ます。
子どもがジタバタひっくり返ると大人は“詰む”──最強カードの爆誕
「すぐに怒る」「かんしゃくを起こす」とき、子どもはどのような状態になっているでしょうか。
- 床にひっくり返ってジタバタする
- 強く地団駄を踏む
- しゃがみ込んで突っ伏す
といった、大荒れの状態になっています。
ここで、ショッピングモールのような公共の場で、子どもが突然ひっくり返って暴れ始めた場面を想像してください。
大勢の人がいる前で、いつまでも子どもを泣き叫ばせておくわけにはいきません。
周囲の視線も気になります。早くその場を収めなければ、買い物を続けることも、移動することもできません。
親は完全に“詰み”ます。
その結果、親は子どもをなだめ、要求をのむしかなくなります。
こうして「ひっくり返る」という行動が、子どもにとって最強の交渉術になっていきます。
まさに、最強カードの爆誕です。
一方、大人は、子どもに常に弱みを握られる形になります。
要求をのまなくても、「抱き起こす」だけで習慣になる
さらに細かい話をします。
要求をのむか、のまないかということ以前に、
子どもがひっくり返ったら、抱き起こす
子どもが動かなくなったら、立たせてあげる
というパターンができてしまうだけでも、実は大きな問題です。
なぜなら、「暴れて泣く」という行動と、「人が寄ってきて介助してくれる」という結果がセットになるからです。
これは幼稚園や保育園でも、よく見られる光景です。



立ち上がるどころか、全体重で抵抗してきます……。
あたかも「ほら、抱きかかえてみろ」と言わんばかりに、全体重を先生に預けます。
その結果、無理な体勢の子どもを何度も抱き起こし、先生が腰を痛めてしまったという事例も、私は何度も見てきました。
興奮して考えることを止め、自分から立ち上がることもやめる。やがて、「人に介助されなければ動かない」という習慣まで根強くなります。
泣いて暴れれば、要求が通る、嫌なことから逃げられる、人を自分のところへ呼び寄せられる。
だから、かんしゃくは二重三重にタチが悪いのです。
かんしゃくは、他害・暴言・拒否へと形を変える
かんしゃくや「キレる」ことが習慣になったまま成長すると、行動はさらに荒れていきます。
叩く、掴みかかるといった他害や、「バカ!」「嫌い!」といった暴言に発展することもあります。
しかし、問題は、目立つ他害や暴言だけではありません。
年齢が上がると、かんしゃくは、
「拒否」「拗ねる」
という形に変わることがあります。
先生が声をかけても「やりたくない」と拒否する。不平不満を言いながら動かなくなる。
周囲が「どうしたの?」「何ならできる?」と歩み寄るまで、集団の活動を止める。
大声で泣き叫んでいなくても、根っこの部分は同じです。
このパターンが定着すれば、学齢期や思春期になっても、拒否や拗ねによって周囲を振り回します。
言葉が達者になれば、皮肉や嫌味、当てこすりへと形を変えることもあります。
つまり、かんしゃくは単になくなるのではなく、本当に人から嫌われるような言動へと進化する可能性があるのです。
拒否のクセの問題点については、こちらでも解説しています。
📒イヤ!ヤダ!が止まらない子どもたち──“拒否のクセ”が将来に与える影響と支援のヒント
なぜ、私はここまで「かんしゃく」に強く警告するのか
冒頭で、かんしゃくを「百害あって一利なし」と表現しました。
ここまで読んで、
「そんな大げさな……」
「そこまで言わなくても……」
と思われた方もいるかもしれません。
しかし、脅すつもりも、煽るつもりもありません。
この問題に幼少期の「今」取り組むことが、お子さんの人生において、どれほど決定的な分かれ道になるか、私は痛いほど分かっています。
激しいかんしゃくへの対応は、2歳の今ですら、親御さんにとって骨が折れることの連続です。
それが5歳、10歳となれば、子どもの体も声も大きくなります。行動の習慣も、さらに根強くなります。
変えるためには、何倍もの時間と労力、そして、あらゆる痛みを伴うことになります。
だからこそ、私はあえて強い言葉で伝えています。
たとえ幼少期であっても、「キレる習慣」から目を逸らさないでほしい。
ここを親御さんと共通認識としてもてるかどうかは、私が支援をお受けするうえでも、大切な判断基準になります。
かんしゃくに支配された家庭で、実際に何が起きているのか
このままではいけないかもしれない
そう感じた方には、まず、当相談室の療育漫画を読んでいただきたいと思います。








漫画に登場するのは、言葉が出ず、激しいかんしゃくを繰り返していた2歳3か月の男の子です。
欲しいものが手に入らなければ泣き叫ぶ。母親の腕を強く引っ張る。親は、その場を収めるために要求をのんでしまう。
そうして、かんしゃくがますます強くなり、家庭の生活そのものが回らなくなっていきます。
この漫画では、親御さんがどこまで追い詰められていたのか、そして、出張療育の初回相談で支援者が何を見ているのかを、実際の支援に沿って描いています。
冒頭11ページを公開しています。


出張療育を漫画で紹介しています
言葉が出ない、名前を呼んでも振り向かない、かんしゃくが激しい──。
実際のご家庭をもとに、出張療育がどのように始まり、親子がどう変わっていくのかを漫画で紹介しています。
冒頭11ページを公開中。全編冊子は無料で郵送しています。
当相談室の出張療育をご希望の方は、下記よりお問い合わせください。








