子どもの鼻ほじりは「やめなさい!」では止まらない──“嗜み”として教える逆転の発想

アイキャッチ
目次

「子どもがよく鼻をほじります」──親も先生も頭を抱える“子育てあるある”の悩み

うちの子、しょっちゅう鼻をほじっていて……

鼻ほじりは、親御さんからよく受ける子育ての定番の悩みです。実は幼稚園の先生からも「困っています…」と質問されることが多いです。

「どうやめさせればいいの?」「厳しく注意すべき?」と悩んでいる内に、鼻から血が出ていたり、ほじった鼻くそを服につけていたり……。

どうすればよいでしょう💦

というわけで、今回の記事では、子どもの「鼻ほじり」にスポットを当てます。

実はこの行動への対応は、専門家の視点から見ても、なかなか奥が深いです。


なぜ、「鼻ほじり(粘膜接触)」を放置しないのか?──3つの明確な理由

最初に、私が支援する際のスタンスをはっきり表明しておきます。それは──

粘膜への接触はよくありません

ということです。

なので、鼻ほじりだけではありません。性器やお尻、お口(指しゃぶり)も考え方は同じです。

なぜ、あえて「放置しない」のか?粘膜を触り続ける問題点は、大きくこの3つです。

  • とにかく癖になりやすい
    理由は、簡単に言えば「気持ちがいい」からです。「自分ではやめられないもの」と考えたほうがよいです。
  • 衛生的なリスク
    粘膜は菌やウイルスの出入り口です。感染症の問題もありますし、爪で中を傷つけて血が出る原因にもなります。
  • 社会的な評価(まわりの目)
    鼻をほじった手で誰かに触ろうとすれば、間違いなく嫌われてしまいます。

おそらく、この3つには多くの方が同意してくれると思います。少なくとも「鼻ほじりを推奨!」なんて方は、きっといないはずです。

ただし、「そのうち自然にやめるから…」とお茶を濁したり、「これも大切な自己表現です」などと、よく分からない理屈を言う支援者もいます。

でも、自然にやめないケースなんていくらでもあります。また自己表現でもなんでもなく、ただの「クセ」です。言葉に惑わされないように気をつけましょう。


「叱っても、注意してもやめません」──鼻ほじりに対する、支援現場からの答え

ほとんどのお母さんは「鼻ほじりをやめさせたい」と切実に願っています。でも、現実は──

何度叱って注意しても、一向にやめないんです……

ここが対応のポイントなのですが、「怒る」「注意する」という対応は、鼻ほじりに関しては全くの無意味です。

しかし、親御さんからすれば 「そんなこと分かっています。でもやめないから困ってるんです💦」 という話ですよね。だからこそ、私はすぐ次の話をします。

大事なのは、『正しいほじり方』を教えてあげるという視点です

正しいほじり方???

文字通りです。やめさせるのではなく、その子のクセやタイプをよく見て、これまでとは違う新しい方法を提案します。

禁止するのではなく「作法」を教える。この逆転の発想が解決への近道になります。


合言葉は“嗜み(たしなみ)”──上品な鼻ほじりとは?

つい先日も「鼻をほじってはパクッと口に入れてしまう」お子さんの支援をしたばかりです。その時に私が提案したステップをご紹介します。

まずは清める

アルコールをワンプッシュして、手をもみもみ。これから鼻を触るための準備です。

心を整える「四つ折り」

ティッシュを1枚取り、折り紙のように丁寧に四つ折りにします。

触れないように…

四つ折りにしたティッシュを人差し指に当てます。

「右・左」の順にクルッっと

まずは右の穴から。ごっそり取れたら「よし」と小さく頷きます。終わったらティッシュを反対にひっくり返して、左の穴も。

最後の「奥ゆかしさ」

取れた鼻くそに触らないように、ティッシュをくるくる丸めてゴミ箱へ。誰にも見せないのが「嗜み」です。

どうでしょうか?

嗜み(笑)。急に上品になりましたね

「鼻ほじっちゃダメ!」と叱らずに、「この作法はいかがでしょう」と、大人がカッコいいやり方を教えてあげるわけです。

本人はゲラゲラ笑っていましたが、それでいいんです。


「禁止」を「推奨」に塗り替える──正しい鼻ほじりで褒められる!?

「やめさせる」と言うと、すぐに「ダメ!と叱る」「無理やり手をどける」といった、力ずくのイメージを持つ方が多いかもしれません。

しかし、そうではありません。

大切なのは「より良い行動を、大人が率先して教えてあげる」という視点です。

パパだって鼻をきれいにするときはこうやるよ

と、親子で実践することで、問題行動が、むしろ推奨される「正しいケア」へと昇華するのです。

褒める時だって、その子に合わせて工夫します。

もう、この手がつい…

というお嬢様タイプのお子さんも、つい鼻をほじりたくなる時はあります。

そんな時は、周囲にバレないように、こっそり親指をグッと立てて「ナイス」と合図を送るだけで十分です。

うへへ♪ほら、ごっそり!ごっそり取れた!!!

というやんちゃタイプなら、「素晴らしい、完璧な作法だね!」と、大いに称賛してあげてください。

やり方は違えども、良い行動ができた瞬間にしっかり光を当てて、大いに褒めてあげる。

鼻ほじりを、「叱られてしまうダメなこと」から「正しい作法ができれば、褒められる誇らしいこと」に上書きしていくわけです。


大人にもクセはあるでしょ?──鼻ほじり支援に大切な“大人の構え”

この支援を成功させるポイントは、子どもではなく、むしろ「大人の構え」にあります。

そもそも私は、鼻ほじりそのものを「問題行動」だなんて思っていません。なぜなら──

私たちにも、人に見られたくないクセ、ありますよね?

(確かに…)

(言われてみれば…)


深くは聞きませんが(笑)。大人だって1つや2つくらい、行儀の悪いクセはあるものです。

それなのに、自分のことは棚に上げて、子どもの鼻ほじりだけを指摘するのは、ちょっとフェアじゃないですよね。

相手はまだ子どもですから、もっと大らかに構えてあげましょう。


あと、真面目なお母さんほど陥りやすいのが、鼻に1ミリも触らなくなることをゴールにしてしまうパターンです。

鼻をほじるが癖になっている子に、「鼻が気になったらおもちゃを触ろうね」と代替案を出したところで、10分後には鼻をほじっています。

そのたびに「またやってる!」と注意していたら、お互い疲れて悪循環です。

ポイントは、「その子が受け入れられるライン」と「社会が許してくれるライン」のギリギリの接点を狙うことです。

既に習慣になった行動に新しく上書きするためには、アイディアと根気が必要です。だからこそ、ユーモア溢れる「適切な落としどころ」を見つける必要があるのです。


“よろしくない行動”を、消すのではなく、教えて上書きしてあげる

さて、鼻ほじりというテーマだけでも、ずいぶん話が盛り上がりますね(笑)。

「じゃあ、無意識にほじってしまった時はどうするの?」

そんな疑問も湧いてくるかと思いますが、それはまた別の機会にお話しします。もちろん、その場合でも私は絶対に怒ることはありません。

過去記事でも書きましたが、問題行動への対応は、『新しい良い行動を作って上書き』が基本です。
👉問題行動は“無視”では減らせない──健康的な習慣で上書きする支援

今回ご紹介した「鼻ほじりの作法」も、まさにその視点から生まれたものです。

子どもを叱って消耗する毎日から、ちょっと「嗜み」を意識して、親子でクスッと笑い合える毎日へ。

私はそのような支援を、常に心がけています。


当相談室では、行動分析学をベースとした療育支援を行っています。鼻ほじりのような困った行動にも、支援者が直接出張し、解決策を提案します。

こちらよりご相談ください。

あわせて読みたい
「こども療育相談室ぷろんぷと」相談申し込みの流れ──お問い合わせから出張カウンセリング開始まで 相談してみたいけど…どうやって申し込めばいいんですか? それでは順番にご説明します。 ①お問い合わせ 最初は何をすればいいですか? まず 「お問い合わせページ」 か...
当相談室のご案内
  • 対象年齢: ご相談時点で3歳未満のお子さま
  • エリア: 千葉県・東京都を中心に出張対応
  • 支援方法: 応用行動分析学(ABA)に基づいた支援プランを個別にご提案
  • サポート内容: ご家庭での療育支援、親御さんへの具体的アドバイス

📩 お問い合わせは下記フォームよりお願いいたします。

目次