出張で療育するってどういうこと?──臨床心理士がAIと格闘して漫画を作っている理由

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出張療育の「実際」をどう伝えるか──漫画を作り始めた理由

臨床心理士の私は、これまで10年以上にわたり、ご自宅に伺って支援を行う「出張療育」を続けてきました。

実は、その事業を続ける中でずっと抱えていた悩みがあります。それは──

  • そもそも療育って何をするの?
  • 家に来てもらって何が変わるの?

といった疑問に、どうお答えすればよいか難しいということです。

実際にお会いすることができれば、過去の支援動画をお見せすることもできますし、詳しく説明することもできます。

ですが、このウェブサイトに初めて訪れた方に、その「空気感」をきちんとお伝えするにはどうすればいいのか……。

そんな模索を続けていたのですが、

現在の生成AIの技術であれば…

なんとか雰囲気だけなら表現できるかもしれない、と考えるようになりました。

そこで現在──

このような感じで、出張療育の様子を元にした短編漫画を制作しています。

今回の記事では、療育そのもののお話からは少し離れて、この漫画制作の背景をお伝えします。


同じ悩みでも、同じ支援にはならない──出張療育はマニュアル化できない

漫画を作り始めたと言いました。しかし、出張療育の実際を全て漫画でお伝えするのは、正直なところ無理があります。

なぜなら、実際の支援は、そう簡単にマニュアル化・パターン化することができないからです。

例えば「言葉が出ない」、「かんしゃくが強い」といった悩みは、どのお問い合わせでもよくある訴えです。

では、共通する悩みなのだから、「言葉が出ない子への支援マニュアル」とか、「かんしゃく対応パッケージ」みたいなものが作れるかというと、できないです。

なぜなら、親御さんの悩みも、お子さんの発達や行動の様子も、十人十色だからです。

その都度目の前のお子さんを見て、具体的な手立てを考え、ご家族に合わせた提案をしなければ、支援はうまくいきません。

「過去の支援の焼き直し」ではダメということです。

実際、この10年を振り返ったとき、「今回も、以前のAくんと同じやり方でいこう」と思ったことは、ただの一度もありません。

「こうすればお悩み解決!」のような形で安易に漫画化することなど、できるわけないのです。


子どもの発達や行動に悩む親御さんに伝えたいこと──「進むべき方向」

それでもどうして、漫画化に取り組むのか。
それはやはり──

悩んでいる親御さんには「見通し」と「希望」を伝えたい

からです。

言葉やコミュニケーションの課題も、他害や自傷といった行動上の問題も、練習の方法や改善の手立ては必ずあります。

しかし、今まさに難しい子育てに悩んでいる親御さんは、何から始めればよいか分かりません。

まるで、夜の真っ暗な海のど真ん中、船をどちらに進めればよいか見当もつかず、途方に暮れている。そんな状況です。

そんなとき必要なのは、「灯台の光」です。

漫画を作っても、様々な問題の解決策をすべてお伝えすることはできない。でも、まずは船を進めるべき方角・道筋を示すことならできるかもしれない──

それが、今回の漫画化に込めた意図なのです。


AIでも療育漫画は簡単に作れない──制作して見えてきた現実

ここで少し生成AIの話をします。

漫画を作るにあたっては、闇雲にイラストを生成すればよいわけではありません。登場人物の顔、服、背景などがコマごとにころころ変わってしまうと、作品として成立しないからです。

これを防ぐためには、正面、横、後ろ、斜めなど、あらゆる角度から見た登場人物のイラストを、あらかじめ用意しなければなりません。

さらに「笑っている顔・泣いている顔」、「座っているところ・歩いているところ」など、表情やポーズなどもたくさん必要です。

こうして用意したイラストをAIにたくさん覚えさせることで、ようやくこちらの指示に対してブレの少ない、一貫したイラストが生成できるようになります。

つまり、AIにも「事前トレーニング」が必要だったのです。

事前準備だけでもめちゃくちゃ時間がかかりました。そこからようやく本編の制作に入るわけですから……。

一体、いつ完成するのだろう…

と、気が遠くなる思いがします。「AIなら気軽で簡単に漫画を作れる」と思ったら、大間違いでした。

まさか、AIに、ここまで「シェイピング」が必要になるとは、全く思っていませんでした。


漫画を通して感じてほしいのは、支援の雰囲気そのもの

さらに、支援場面の細かいところまで表現できるかというと、それにも限界があります。

「子どもの姿勢はこう、支援者の右手はこの位置に、お母さんの表情は……」

といった、まさに臨床の細部まで絵にしようとすると、いくらAIでも指示だけで伝えるのは難しいです。

また、修正を繰り返すたびにコストがかさんでしまうこともあります。

今回の制作にあたっては、あるご家庭にモデルとして協力いただいています。しかし、個人情報への配慮から「実際の支援そのもの」を再現することはできません。

コマ割りや文字数の関係から、絵やセリフだけで伝えられる情報には限界があります。


そのため、この漫画で受け取っていただきたいポイントは、先ほどもお伝えした「希望の光はある」ということ。そしてもう一つは、「実際のやりとりの雰囲気」を感じ取っていただくことです。

たとえば、私の療育では、ときに厳しい言葉をお伝えする場面もあります。

おそらく、多くの方がイメージされる療育との間には、少なからずギャップがあるはずです。

事前に漫画を通してその雰囲気を感じ取っていただくことは、相談するかどうかの判断材料になるはずです。

相談支援で一番避けたいことは、「こんなはずじゃなかった」というミスマッチです。


当相談室への相談を検討している方へ──療育漫画を無料でお送りします

完成した漫画は、当相談室への相談を検討している方に、出張療育の実際を知っていただくための資料として制作しました。

ウェブ上で全編を公開するのではなく、紙の冊子ご自宅へ郵送します。冊子代・送料はかかりません。

ただし、広く配布する資料ではありません。お子さんの年齢やお住まいの地域などを確認し、当相談室への相談を具体的に検討しているご家庭に限ってお送りします。

子育てに悩み、このウェブサイトにたどり着き、出張療育が自分たちに合うかどうかを真剣に考えている。そのような方に、じっくり読んでいただきたい資料です。

※2026年7月追記:漫画が完成しました。

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当相談室の出張療育がどのように始まるのか、漫画で紹介しています。
冒頭の11ページはこちらから読むことができます。

出張療育を漫画で紹介しています

言葉が出ない、名前を呼んでも振り向かない、かんしゃくが激しい──。
実際のご家庭をもとに、出張療育がどのように始まり、親子がどう変わっていくのかを漫画で紹介しています。

冒頭11ページを公開中。全編冊子は無料で郵送しています。

当相談室の出張療育をご希望の方は、下記よりお問い合わせください。

出張療育をご希望の方へ

対象は、お問い合わせ時点で3歳未満です。
千葉県・東京都近郊のご家庭へ訪問し、初回から具体的な療育とアドバイスを行います。

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