「独語をやめさせる?」──『静かにして』ではなく、現実的な「落としどころ」をつくる支援

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電車の中で独り言──小学生になった子の相談

私の出張療育では、2歳頃から支援を開始し、小学生になってからも支援を続けているご家庭があります。

当時はまだ言葉もほとんど出ておらず、かんしゃくや生活面の相談をしていた子が、今ではもう小学生です。

相談の回数も少しずつ減り、現在は年に数回、ご家庭に出張しています。

年齢が上がってくると、毎回本人に会うわけではありません。学校生活や家庭での様子について、親御さんだけからお話を聞くこともあります。

そんな中、お母さんからこんな相談がありました。

最近、電車に乗ると、ずっと独り言を言うんです……。

ふむふむ、なるほど。

今回は、ぶつぶつと繰り返す「独語」について、親御さんにどんなアドバイスをしたのか、ご紹介します。


独り言をゼロにする?──それでは「喋るな」とほとんど同じ

こういう相談の場合、大抵の親御さんは、このように考えてしまいます。

どうすれば、独語をやめさせられるか……。

あるいは、

おとなしくしてほしい
静かにしてほしい

一見もっともなのですが、このように考えているうちは、支援は全く前に進みません。なぜなら──

それでは、「喋るな」ということになってしまいます。

行動分析学には、「死人でもできることは、行動とは呼ばない」という有名な考え方があります。

たとえば、

  • 喋らない
  • 騒がない
  • 動かない

これらはすべて、死人でもできます。

ですから、「喋らない」は支援目標にはなりません。

もちろん、電車の中ですから、周りのお客さんもいます。いつまでも「ブツブツ……」が続けば、親御さんだって気が気ではありません。

やめさせるのではなく、何をして過ごすか。

ここから考えていきます。


「静かにして」ではなく「どんどん喋って」──好きなものを使った独語への支援

では、親御さんに何を提案したのか。まずはこちらをご覧ください。

2歳の頃からずっと支援をしてきたので、生活スタイルや好きなものは、手に取るように分かります。

生成AIを使ってこんなイラストを作成し、その場で親御さんのスマホに送ります。

電車に乗ったら、これを一緒に見て、親子で盛り上がってください。

この子は電車が大好きです。特に新京成線が大好きなので、駅名をずらっと並べてみました。

さらに、もう一つ好きなのが、ふりかけ。

「のりたま」「味道楽」「すきやき」──これもイラストにしました。

好きなものを、見る。読む。口に出す。

「静かにしなさい」「喋るな」ではなく──

どんどん喋ってください

という発想です。


「プププ…」より「しんつだぬま…」──理想ではなく、まず現実的な落としどころをつくる

大好きなイラストで盛り上がって、みんな円満──。

もちろん、「静かにしなさい」と注意し続けるより、100倍以上洗練されていることは間違いありません。

でも私は、もう少し別の角度から親御さんにお話しします。

「プププ……」と言い続けるのと、「しんつだぬま……まえばら……」と言い続ける。どちらなら受け入れられますか?

これは、ものすごく現実的な話です。

駅名をずっと言い続けているのも、ちょっと気になる……。

という親御さんだって当然います。親御さんが思い描いているのは、

「今日は学校どうだった?」
「楽しかったよ」

そんな会話かもしれません。

でも、そこを目標にしても、現実の生活はなかなか変わりません。

以前、鼻ほじりの記事で、

ポイントは、「その子が受け入れられるライン」と「社会が許してくれるライン」のギリギリの接点を狙うことです。

と書きました。

そして、

ユーモア溢れる「適切な落としどころ」を見つける必要がある

とも書きました。

今回も同じです。

理想とは少し違う。でも、今よりは良い。

そういう現実的な「落としどころ」を一つずつ作っていく。

今回の支援も、そこを狙っています。

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「独語をやめさせる」ではなく、「どう過ごすか」──幼少期からの積み重ねで生まれる支援

私が提案する療育では、問題となっている行動を「無くそう」「消そう」とするのではなく、

「健康的な習慣で上書きする」

という視点を最優先にしています。

この考え方は、過去の記事でも何度も紹介してきました。

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今回も同じです。

「ププププ……」を言わせない

ではなく、

電車の中で、どんな風に過ごすのが健康的か。

そこから考えています。

そして、こういうアイディアを出すためには、お子さんのことをよく知っていることが、とても大切です。

この子が何を好きなのか。
どんな言葉なら口にしたくなるのか。

2歳の頃からずっと関わってきたからこそ、その場で具体的な案が浮かびます。

そしてもう一つ大切なのが、親御さんとの積み重ねです。

こちらの話にきちんと耳を傾け、実際にやってみて、その結果をまた教えてくださる。

そういうやりとりを何年も続けてきたからこそ、こちらも思い切った提案ができます。

生成AIでイラストを作ること自体は、それほど難しいことではありません。

大切なのは、小手先の技術ではなく、子どもと家族を長く見てきた積み重ねです。

今回のような支援は、そこから生まれています。


こども療育相談室ぷろんぷとの出張療育が、実際にどのように始まるのか──

こちらの漫画で紹介しています。
冒頭の11ページはこちらから読むことができます。

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言葉が出ない、名前を呼んでも振り向かない、かんしゃくが激しい──。
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