言葉の遅れは「3歳まで様子見」でいい?──専門家が考える本当のところ

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「3歳まで様子見」の根拠って?

教育相談では、必ずと言ってよいほど、言葉に関する相談・質問を受けます。

言葉の遅れを心配した親御さんが、周りのママ友や先輩ママに相談すると「男の子だから…」と言うことがよくあります。“専門家”に相談すると「3歳まで様子を…」と言うことも多いです。ところが、この「男の子」も「3歳」も、特に根拠があるわけではありません。


「3歳までは様子見でいい」とよく聞きますが、それも根拠がないんですか…?

子どもの成長・発達にとって良いことであれば、3歳まで待つ必要などありません。

そもそも待つ理由など、どこにもありません。

子どもの1年と大人の1年では、その意味や重みがまったく違います。『今できる最善』をしっかり子どもに与えることができれば、短期間でぐんと成長できることだって決して珍しくありません。これは決して誇張ではないです。

もし子育てに悩まれている方で、近くに専門家がいるなら、

「今の子どもの様子を見て、どんなことが必要かアドバイスが欲しいです」

と、単刀直入に聞いてみるのが効果的です。

なぜなら、発達や言葉の遅れがあろうがなかろうが、その時々でお子さんには教育的な課題が必ずあるからです。「こんな関わり方が良いですよ」「こんな練習をやってみましょう」といったヒントが必ずあります。さらに、「お母さんは〇〇を心配されていますが、実は●●の方がもっと大事ですよ」といった、新しい気づきが得られることもあります。

「様子を見ましょう」の問題点は、こちらの記事でもお伝えしています。
👉 専門家の「様子見でいいですよ」は本当?支援が遅れる前に知っておきたいこと


二語文が出れば安心?その誤解とは…

「2語文が出てきたら大丈夫」という言葉を聞いたのですが…。


なぜか、このような発言もよく聞きますが、これもどのような根拠があるか分かりません。

親御さんが、「どれだけ単語が出てきたか」、「〇語文を話せたか」と気にすることは無理もありません。ですが、少し考えてみましょう。

たとえば、乗り物が大好きな子どもの口から、「きゅうきゅうしゃ!」「ぱとかー!」と、教えてもいないのに、ぽんぽんと名前が出てくるとします。なかには「すーぱーあんびゅらんす!」なんて、大人でも知らないような単語まで話すかもしれません。

でも、お母さんが「〇〇君、きゅうきゅうしゃ走ってるよ」と声をかけても、お子さんは気にも留めず明後日の方向を見ている…これ、どう思いますか?

……ドキッとしました。うちの子がまさにそんな感じで、好きな言葉は言うのに、こちらの声かけには反応しないことが多くて。


もっと「基礎」の練習があるかもしれない

せっかくお母さんが声をかけてくれたのに、それに反応しない。これはものすごく寂しいことです。すると、こんな考えもできませんか?

今は、口から出る言葉が増えることよりも、

  • 親が声をかけたら必ずパッとふりむいて反応する
  • 親をしっかり見て、目を逸らさず、こちらの動きについてこられる

こんな練習をする方がまずは大事かもしれません。

実際、たとえ言葉がたどたどしくても、親御さんの呼びかけにパッと振り向けることの方が、ずっと高いコミュニケーション能力を示しているとも言えます。

なるほど…単語が増えることよりも、「すぐに反応できることの方が、まずは大事…」そうかもしれません。

出張カウンセリングでは、親御さんの悩みごとに対して「こういう視点で考えましょう」と、気づきを促す場面が多くあります。

こちらの記事も参考になります!

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