「ママ、ママ」と離れない2歳半、でも本当にそれだけ?──相談の第一歩は“前提”を変えること

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親にべったりで離れられない?

こんなことで相談してもいいのか分からないんですけど、うちの子、いつも「ママ、ママ」と、私にべったりなんです。

どこに行くにもついてきて、トイレに行くだけでも泣きながらドアを叩くほどで…。

もう2歳半なんですけど、こんなに離れられないものでしょうか…?


今回も一緒に考えていきましょう!

たとえば、お子さんがまだ生後数か月であれば、泣いている我が子をあやすことに何のためらいもないはずです。ところが、2歳半にもなると、

「このままでよいのだろうか…」とか「来年は幼稚園生になるのに…」と、不安が大きくなってきます。

このような不安をどこかに相談すると、「ママが大好きなのね」「くっついてくれるのも今のうちだけよ」「いっぱい甘えさせてあげなさいよ」といった答えが返ってくるでしょう。

そのような誰でも思いつくアドバイスで納得するなら、私の教育相談は不要なのですが、いよいよそうも言っていられないケースがあるのもまた事実です。

こんな時、「お母さんから離れられないだけでは済んでいませんよね?」「思い通りにならないと叩いたりしませんか?」とお母さんに確認します。


そうなんです。離れられないだけじゃなくて…
最近は、子どもの言うことを聞かないと、すぐ叩いたり物を投げたりして。
かんしゃくみたいな感じで、急に大きな声を出すこともあります。
正直、困ってるんですけど、でも「イヤイヤ期」って聞くと、
「みんな通る道だよな」とも思って…
どこまでが“普通”なのか、わからなくなっちゃってます。

ここまで確認しても「子どものやることをすべて受け入れてあげましょう」などと言う“専門家”もいるのですが、もちろん私はそんなアドバイスをしません。


「いつでも子ども最優先」というおかしな前提

そもそも、トイレくらいゆっくり行きたいですよね。それに1時間とは言わないので、せめて10分くらいお茶を飲みながらぼーっとする時間だって欲しいです。夕飯を作るときにべたべたくっつかれると火も使えないので、1人で遊んでいてほしいです。

2歳半にもなれば、「いつでも子ども最優先」には無理があるのです。

トイレに行くことも、休息することも、お母さんの大切な権利です。
忙しい夕方は、家族の夕飯を作ることの方が、子どもと関わることよりも優先されるべきです。

ところが、「いつでも子ども最優先」が当たり前のように刷り込まれているお母さんは、「子どもの要求に応えないといけないのではないか?」と戸惑うのです。

こんな時こそ、専門家の適切なアドバイスが必要になります。


専門家のアドバイス「前提を変えていきましょう」

今回のような保護者の悩みに答えるうえで一番大切なのは、子育ての「前提」を変えることです。

「いつでも子ども最優先」という前提を改めて、「子どもを優先できないこともある」ということを親御さんに伝えなければなりません。

それどころか、年齢が進むにつれて、「ときに子どもの要求を拒否する」ことだって必要になってきます。

これは子どもを無視するとか、頭ごなしに否定するということではありませんよ。

歯みがきが終わった後に「アイス食べたい!」と言ったとしても、「うん、でも今日は歯を磨いたから、アイスはまた明日の夕飯のあとね」と、さぁどうぞ怒りなさいと言わんばかりに、ノーを伝える練習が必要です(もちろんポイントやコツがあります)。

ところが、「いつも子ども最優先」という前提のままであれば、すがるように泣きつく我が子に、いつまでも振り回され続けます。


いよいよ地域・社会に出ていく我が子

そうこうしているうちに、我が子が幼稚園に入園します。

幼稚園では思い通りにならない場面ばかりです。外で楽しく遊んでいたのに「教室に戻ります」と声がかかりますし、体操に行く前に「トイレ行きましょう」と言われます。

これまで経験したことがない、社会のペースです。

自分のペースでしか動いてこなかった子どもからすれば、窮屈でしかたないでしょう。
でも、そんな社会のペースも「悪くないな」と思える人になってもらいたいです。


さぁ、練習です!

教育相談では、家庭に合った練習方法をお伝えします。たとえば、

  • お父さん、お母さんが支援者とお話しているとき、子どもは割り込まないで1人遊んで過ごす

これは例外なく、すべてのお子さんで練習します。

教育相談は、親御さんが子育てを学ぶ貴重な時間です。大切な話をしている最中、親御さんは、子どもではなく、支援者とのやりとりに集中するべきです。これは家族にとって「いつでも子どもが最優先」を崩す良い練習になります。

もちろん、子どもはずっとほったらかしにされるわけではありません。遊んでいればどこかで必ず声がかかります。何も怖いことないです。


なるほど、すごく納得しました。

これまで「子どもの気持ちを優先しなきゃ」って思ってばかりで、自分のことは後回しにしてきた気がします。

でも、今のお話を聞いて、「親のペースも大事なんだな」って、少し気が楽になりました。とはいえ、私にできるかどうか、ちょっと不安です。


必ず上手になります

大丈夫、これはテニスなどのスポーツと同じです。練習方法が正しければ、必ず上達します。

最初は、ラケットの握り方すら分からなかった。でも、今では自然に構えられる。子育ても同じです。分からないことや不安なことは、コーチに聞けばよいのです。

何事もうまくなってくれば、自然と自信がついてきます。
教育相談も、それとまったく同じですよ。

子育てには練習が必要です。過去記事も是非読んでください。

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