こだわりの強い3歳が『じいじのヨーグルトでいいよ』と言えた理由──療育の専門家が実践する「がまんの練習」

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【エピソード】こだわりの強い3歳児が流した涙と、驚きの一言

当相談室で支援している親御さんからこんな報告がありました。

子どもが、ちょっとずつがまんができるようになってきました!

早速、具体的なエピソードをお話ししましょう。


今回主人公のお子さんは、2歳で私の療育を開始したころから、「こだわり」が強いことが親御さんの悩みでした。特に──

バニラヨーグルト

これが夕食のときに出てこないと、物をテーブルに投げたり、暴言を吐いたりなど、2歳児とは思えないくらい大暴れしていました。

さて、そんなお子さんが、お父さんの実家に帰省する機会がありました。

じいじ・ばあばは、可愛い孫が来てくれるのが楽しみです。帰省の度にバニラヨーグルトを用意して待っていてくれるわけです。

じいじの家には、当然バニラヨーグルトがある。3歳の彼はそう信じていました。ところが、冷蔵庫にあったのは、

「ブルガリア(無糖)」

……。

慌てて「セイコーマートで買ってくる!」と腰を浮かすおばあちゃん。絶望的な表情で、目に涙を溜める子ども。

普通ならここで「大爆発」の幕開けです。

しかし、彼は一筋の涙をこぼしながら、絞り出すように言いました。──

じいじのヨーグルトでいいよ…。

暴君のようだった彼に、一体何が起きたのか。その舞台裏を明かします。


大荒れの「ヨーグルトパーティー」で練習したもの

この子に何があったのか。

元々ご両親は、些細なことをきっかけに感情を爆発させる我が子に、強い不安を抱いていました。

そんなときに私のホームページやブログを読み、事の重大さをますます強く意識するようになりました。お問い合わせは、私の存在を知った「その日」だったそうです。

初回相談に先立ち、大暴れになってしまった時の様子を動画に撮っておくこと、そして「ある準備」をお願いをしていました。それは──

ダノン、牧場の朝、朝食りんごヨーグルトなど、各種用意しておいてください。

もちろん、その各種の中に「バニラヨーグルト」は含まれていません。スーパーの取り扱いが無くなったのか、それとも品切れだったのか…。はてはて…。

そして出張相談の最中に、お子さん、両親、そして私の4人でヨーグルトパーティーを開催します。ヨーグルトは、私がチョイスした「ダノンビオ」です。

ギャー!!!

と、もちろん最初は大荒れです。しかし、親御さんが私の考えをしっかり聞いてくださっています。

思いつきのいじわるではなく、「なぜこんなことをするのか」を理解して実行してくれるわけです。

当然、ヨーグルト問題はすぐに解決しますし、他の場面でも「がまん」を教えられるようになっていきます。

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「がまん」は性格ではなく、練習で身につく「スキル」です

「時にがまんすることも大切です」

このフレーズを聞いて、おそらく多くの親御さんは「その通り」と仰ると思います。

しかし──

がまんが大切と思えることと、実際に子どもにがまんを経験させることには、天と地の差があります。

ここがもっとも難しいのです。

子どもにがまんを経験させる練習は、頭を使いますし、それ以上に「面倒くさい」です。

子どもの要求(欲求)をさっさと満たす方が手っ取り早いですし、うっとおしい「泣く・わめく」を回避することができます。

「生きていくためにがまんは大切」と、口先で言うだけなら誰でもできます。それを日々実践していくのは並大抵のことではありません。

じいじのヨーグルトでいいよ…。

これは、自然にがまんができるようになったわけではありません。一言でいえば、「練習の賜物」だったわけです。


なぜ、あえて「かわいそうな経験」をさせるのか

今回「がまん」という言葉をキーワードに挙げました。私はご家庭への支援で…

年齢相応のがまんは、練習で身に付くものです。

と、伝えています。

どういう方法でやるかは、親御さんが思いつかなくても大丈夫です。それは私の仕事です。

でも、そもそも我が子にがまんをさせたくない、あるいは「かわいそう」と思われる親御さんであれば、私の療育支援は長続きしません。

今回の記事を書いた理由は、私の価値観を知っていただくことで、合わないお問い合わせ、つまりミスマッチを防ぎたいからです。

どんな発達のお子さんであれ、社会で暮らす以上がまんが必要となる場面が必ずあります。絶対に避けることができません。

そのため、2歳3歳のまだ本格的に社会に出る前の頃から、家庭の中できちんと練習をしていきましょうというスタンスで支援をしています。


子どものかんしゃくを怖がらなくなった親が見ている景色

でも、年齢や発達に合わせたがまんの練習を早期から始めれば、子育ては本当に楽になります。

話を冒頭のご家族に戻します。

祖父母宅にバニラヨーグルトがないと分かったとき、両親が子どもにどのように接していたか、何を考えていたかご紹介しましょう。それは──

じいじは、はちみつかけて食べるらしいよ(別に食べなくてもいいけど)

コーンフレークにも合うよ(別に食べなくてもいいけど)


余裕なんです。

どうしてバニラヨーグルトがないのかと慌てもしないし、かんしゃくなんて怖くもないのです。

なぜなら、家庭で散々練習してきたからです。

両親は私の指導を受けているので、このような機会は、むしろ「良い経験」を積む絶好のチャンスと考えます。

もちろん、じいじとばあばに孫の笑顔を見せてやりたいと思う親心はあります。でもそれは、別にバニラヨーグルトでなくてもよいわけです。

しっかり練習を積み重ねた親御さんであれば、例えば「ご飯抜き」はダメだけど、「デザートのヨーグルト抜き」や「Youtube無し」はOKな理由だって分かっています。

夫婦で対応が大きくズレたり、不一致になったりすることも、ほとんどありません。

こういう子育てをしたいなと思える方に、私は支援をしていきたいと考えています。


激しいかんしゃくやこだわりに悩んでいた方の相談事例は、こちらでもご紹介しています。

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当相談室のご案内
  • 対象年齢: ご相談時点で3歳未満のお子さま
  • エリア: 千葉県・東京都を中心に出張対応
  • 支援方法: 応用行動分析学(ABA)に基づいた支援プランを個別にご提案
  • サポート内容: ご家庭での療育支援、親御さんへの具体的アドバイス

📩 お問い合わせは下記フォームよりお願いいたします。

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