“サロンドプロ♪”で泣き叫ぶ?一見ささいなこだわり行動
一見ただの“こだわり行動”に見えても、早期の対応で子どもの世界は大きく変わります。
今回はそんな一例をご紹介します。

先生、最近、あるコマーシャルが流れるたびに、大きな声を出したり泣き出したりするようになって困っています。



どんなCMですか?



それが「サロンドプロ」なんです。



あぁ白髪染めの。使いやすいんですか?



いえ、私は使わないですけど!
教育相談では、こんなやりとりから問題の解決に取り組むことがあります。 それほど大したことのないテーマに思われるかもしれませんが、案外そうとも言えません。
親御さんとしては、なんでそれが怖いのか分からないですし、原因の検討もつきません。 ある時期から突然泣くようになったのですが、「どうしたの?」と聞いても要領を得ない答えばかり。
こういうとき、親御さんが原因を突き止めよう、子どもが何を考えているか知りたいと思うのは自然です。そこで根掘り葉掘り聞くなど、“丁寧な関わり”をしてしまうことが後に尾を引く結果につながるのですが、今回の記事では、そこは割愛しましょう。
原因不明。でも、それでも“直せる”んです



お母さん、色々伺いましたが、何が原因か、はっきりわかりません。



そうですか…。



でも直るので心配しないでください。
「原因が分からない」──実はこれ、決して珍しいことではありません。
私も親御さんも、子どもの全てを見ることなどできませんし、幼稚園や保育園の先生だって同じです。
今回のケースでは、本来怖いものでも何でもないもの(コマーシャル)に、何か嫌なことがくっついてしまったのかもしれません。たとえば、画面を近くで見ていたら、「黒髪バサッ!光沢キラキラ!黒い画面かと思ったら、その正体は人の頭で、女性が振り返ってニッコリ!」ってなったら、小さい子が「怖っ!(ビクッ!!)」となってしまうことは十分考えられます。
たまたまそんな体験をしたときに流れていたメロディが「サロンドプロ♪」だったとしたら、また「サロンドプロ♪」って流れるたびに、体ビクッ!が反射的に出てしまうことがあるんです。
サロンドプロ祭り、開催します。



はぁ、それどうやったら直るんですか?



大丈夫。サロンドプロは怖いものではありません。慣れちゃいましょう。
ということで、まずはサロンドプロの動画や音声をかき集めます。公式ホームページには、15秒バージョンや30秒バージョンがちゃんとありますし、YouTubeでも過去動画を発見。このCMがよく流れる番組が事前に分かっていたので、念のため他のCMもいくつかピックアップ。
準備は整いました。「サロンドプロ祭り」の始まりです。
楽しく見えるけれど、“本気の支援”です
- 子どもとおしゃべりする際、どさくさにまぎれて「サロンドプロ♪」と挟み込む
- 好物のチョコあ~んぱんを食べながら、隣の部屋からCMが聞こえてくる
- 大好きなタカイタカイをする際、「サローンド?」「プローー!」と謎のコールアンドレスポンスを覚えさせる
こんな感じで、苦手だったはずのサロンドプロに、「楽しい」「おいしい」「気持ちいい」などをぶつけまくるわけです。あんなに泣いてわめいていたのが嘘のように、1回の教育相談で慣れてしまいました。ダメ押しに次の回でもやりましたが、不要でした。
支援者とご家族が楽しく遊んだり、おやつを食べたりしながら、苦手を克服する。こんな教育相談もあるのです。子どもにとって、「先生楽しかった!また遊ぼうね!」という体験になってくれれば、それで良いのです。
早期の関わりが、笑える未来をつくる
ただ、親御さんにはちょっとした「警告」も伝えます。
「こうやって早期に対処できたから良かったですが、もし引っ張ってしまったら…」
笑えない結果となっていたかもしれません。
今回のように幼少期から支援を継続してきたご家庭であったからこそ、こちらの提案をスッと受け入れてくれたと言えます。では逆に、「子どもが怖がっているコマーシャルをあえて流すなんて…」というご家庭の場合は、一体どうなっていたでしょうか。
早期に支援を開始することが大切であると、これまで繰り返しお伝えしてきました。もちろん言葉の遅れや様々な問題への対応は、早ければ早いほど良いに越したことはありません。
それと同時に、子育てのちょっとした悩みを抱え込んだり、見過ごしたりせず、気兼ねなく専門家に相談することがやはり大切だと思います。この習慣こそ、子育てを楽しむ、そして自信を持てるようになるための秘訣です。
当相談室のモットーは「子育てに笑顔と自信を」です。
👉 こども療育相談室ぷろんぷと ホームページ
早期支援の大切さについては、実際に支援を受けられた親御さんの声が参考になります。


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