もうすぐ3歳なのに言葉が出ない【後編】──2つの原因と早期支援が未来の分岐点になる理由

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言葉が出ない本当の理由は「環境」にあります

子どもがもうすぐ3歳になるのに、まだ言葉が出ない──
私が療育の仕事を10年以上続ける中で、親御さんから最も多く寄せられる悩みです。

前編では、「言葉を学習しなくても生きられてしまう生活」の問題点をお伝えしました。
👉もうすぐ3歳なのに言葉が出ない【前編】──発語を止めている“生活のパターン”とは?

親は「言葉を覚えてほしい」と願っている。
けれど、子どもは「言葉を使わなくても困らない環境」の中で暮らしている。

このズレを放置したままでは、

いつまでたっても言葉は定着しません。

今回の【後編】では、

言葉を学ばなくても済んでしまう環境

が、どのようにして作られてしまうのか。その大きな原因を、2つ紹介します。

決して、細かいテクニックの話ではありません。
私が言葉の支援で家庭に伺った際、ほぼすべての親御さんに必ずお伝えしている、根本的に大切な話です。


①言葉を止めている最大の壁──「興奮とかんしゃく」

言葉が遅れる原因の筆頭は、

泣く、大声を出す、地団駄を踏む、物を投げる、叩く──

このような、強い興奮を伴う行動や激しいかんしゃくです。

0歳の赤ちゃんが泣いて訴えるのは、年齢相応の大切な自己表現です。

けれど、2〜3歳になっても「わめく・怒る・暴れる」ことで欲しいものや注目が手に入る生活が続いていると──

発語やコミュニケーションの発達には、まず間違いなくブレーキがかかります。

親にとって、かんしゃくや興奮を伴う行動は「やめてほしい困りごと」です。

しかし、子どもにとってそれで十分に目的が達成できているなら、わざわざ難しい「言葉」を覚える必要も、使う必要もなくなります。

かんしゃくを起こして興奮している状態は、いわば頭から湯気が出ているようなものです。
そんな状態では、そもそも目の前にいる相手のことなんて、すっかり頭から抜けています。

言葉を覚えるためには──

  • 相手をよく見て
  • 言葉をよく聞いて
  • 真似をしてみる

この積み重ねが欠かせません。

ところが、興奮が常態化していると、このプロセスそのものが成立しなくなります。
だから、言葉を学習できるわけがないのです。

一見すると穏やかに見えても、実は常に「興奮のスイッチが入りやすい待機モード」にいるお子さんもいます。
ちょっとしたきっかけで興奮状態に移行するため、やはり言葉の学習は進みません。

実際の相談の場でも、私は親御さんにこう伝えています。

かんしゃくと興奮は、きれいさっぱり無力化しましょう。

この「かんしゃく」と「興奮」が、なぜここまで深刻な問題なのかについては、
こちらの記事で詳しく解説しています。

👉「すぐ怒る」「かんしゃく」には、何ひとつ良いことがない──2歳から“キレる習慣”を断ち切る療育


②子どものかんしゃくを前に、揺さぶられる「まっとうな親心」

子どものかんしゃくや興奮は、ほとんどの親御さんにとって、決して心地よいものではありません。
それが「要求の手段」になってしまうのは良くない、ということにも、薄々気づいている方だっています。

では、親御さんがこの問題に取り組めるかというと、話はそう単純ではありません。
多くの親御さんの心の中には、こうした思いがあります。

子どもが泣いていたら、抱きしめてあげたい…

これが、親心です。

  • かんしゃくであっても、「伝えようとしている」姿を受け止めたい
  • 言葉が出ないのだから、怒ってしまうのも仕方がない

どれも、親として自然で、愛情に満ちた反応です。
私自身も、学生の頃であれば、「それが正しい」と疑いもせず信じていたでしょう。

しかし、この“まっとうな親心”こそが、
療育支援において最大の壁になると言っても、決して言い過ぎではありません。

  • 泣き叫べば、親の注目と抱っこが手に入る
  • 大声を出せば、テレビや動画が始まる
  • 「終わり」と言われても、泣き崩れれば、「もう一つだけ」が返ってくる

こうして、「暴れれば世界が動く」状態が作られていきます。

それが良くないことだと、頭では分かっている。
「そうなれば、言葉は必要なくなる」という理屈も、理解できている。

それでも──
泣いている我が子を目の前にすると、親心は強く揺さぶられます。

親御さんに、悪意はありません。

それでも、親心とは無関係に、「よくない行動が強化されてしまう構造」は、確実に存在します。
そして、このまっとうな親心こそが、問題を難しくしている本質なのです。


迷いながらも、言葉の遅れに立ち向かった親御さんの声

かんしゃくや興奮を、無力化しましょう

そう言われても──

泣いている子どもを、抱きしめてはいけないということ?
放っておけ、という意味なの?

多くの方が、そこで立ち止まります。子育てや保育の“常識”から、あまりにもかけ離れているからです。
それが戸惑いを生むことは、私自身、重々承知しています。

実際、私の相談を受けられた親御さんも、最初はほぼ例外なく戸惑います。

けれど、その戸惑いをどう乗り越えたのか。
ここでは、実際に支援を受けられた親御さんの声をご紹介します。

加筆修正は一切していません。
そのままの声をお伝えします。


当時は息子がどうして泣いてるかを考え、泣き止ませるためにあれやこれやと四苦八苦していました。

親としては、発語が全くないことだけが問題で、それが解決されればほかの問題も付随して解決していくものだと思っていました。

しかしそうではなく、息子の癇癪や泣きに周りの大人(主に両親)が付き合っていることが大問題で、これを正さないといつまでも言葉は出ないと教えていただきました。

まずは泣きに応じないことを徹底し、発語のための日々の練習方法、切り替えの練習、トイレトレーニング、暴力への対応、手つなぎ練習、幼稚園での対応方法等を主としてご相談させていただきました。

初めてご相談をしたときには発語0だった息子が、今は歌を唄い、絵本を音読し、トイレは自分の意思で行き、毎日楽しく幼稚園に通っています。

定型発達の4歳児に比べたらとてもゆっくりではありますが、息子の口から言葉を聞ける日が来るのだろうか?と思っていた 2 歳のときからは、想像がつかないくらい成長しました。

保護者の声の全文はこちらで読むことができます。
👉早期発達支援のあるべき姿──2歳3か月で相談されたお母さんの声


早期の支援が、言葉の発達を促す環境をつくる

言葉の遅れに悩む親御さんに、今、何を伝えるべきなのか。
そう考えて、今回【前編】【後編】の2本の記事を書きました。

先ほど紹介した親御さんもそうであったように、
実際の支援現場でも、私は次のような言葉をお伝えしています。

「今の生活は、言葉を覚えなくても困らない形になっています」
「まずは、このかんしゃくや興奮を無力化しましょう」
「“かわいそう”って思いますよね。それでも、一緒に頑張りませんか?」

決して、心地よい言葉ではありません。
親御さんによっては、「耳が痛い」と感じられることもあるはずです。

だからこそ、お子さんが低年齢のうちに支援を始められるかどうかが、極めて重要になります。

年齢が上がるほど、支援者の言葉は保護者に届きにくくなります。

「今さら言われても」「否定されたくない」

そうした気持ちが、どうしても強くなっていくからです。

また、かんしゃくや興奮への対応も、年齢が少し上がるだけで、まったく別の世界になります。
同じお子さんであっても、2歳と5歳では、声の大きさも、力の強さも、暴れ方も、別人のように変わります。

言葉の発達にとって良い環境を整えるなら、早ければ早いほど良い。
私はこれを、例外のない原則と考えています。

だからこそ、支援の開始は一日でも早く。
それが、ご家庭とお子さんにとって、大きな分岐点になります。


言葉の遅れについては、こちらの記事も参考になります。

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  • サポート内容: ご家庭での療育支援、親御さんへの具体的アドバイス

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